岸田 国士

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岸田 国士

初級翻訳・村で一番の栗の木(五場) 第3話

本はなかなか読むらしいけど、一体どこから探してくるんだか」あや子 「でも、そういう方も面白いわね。私、素朴で飾り気のない人って好きよ」亮太郎 「馬鹿じゃないんだよ、あいつは」あや子 「馬鹿だなんて、そんなこと言ってないわ……。じゃあ、東京の...
岸田 国士

初級翻訳・村で一番の栗の木(五場) 第2話

わからないかなあ、田舎の百姓のおじいさんがどんな格好をしているか……」あや子 「百姓のおじいさんっていったって、普通のお百姓さんじゃないんでしょう?」亮太郎 「大して変わりやしないよ。僕がクシを使って髪を整えていたら、息子が女の真似をするよ...
岸田 国士

初級翻訳・村で一番の栗の木(五場) 第1話

亮太郎あや子ほかにも、しゃべらない人が何人か第一場山の中の小さな駅――待合室真夏の早朝。ちょうど電車が出発したばかりのような雰囲気。二、三人の旅行客に混じって、都会から来たらしい若い夫婦が、改札口の方からやってきます。すみに場所を選んで荷物...
かんしやく玉

初級翻訳・かんしやく玉 第3話

冗談じゃないや。自分の姿をよく見直してみろよ……。多田はすごすごと部屋を出ていく。小森 まあまあ、そんなに怒るなよ。あいつも親切心から言ってきたんだからさ。でも、人間って感情の生き物だからね。あんな切り出し方は、たしかにまずかったよ。だから...
かんしやく玉

初級翻訳・かんしやく玉 第2話

そしてくすっと笑う。夫 そんなふうにするから、あいつが調子に乗って、用もないのにしょっちゅうやって来るんだろ。彼女 だって、そうでもしなかったら、今晩はトマトだけになっちゃうところだったんだから。夫 こっちは利用してやったつもりでいても、そ...
かんしやく玉

初級翻訳・かんしやく玉 第1話

アパートとは名ばかりの、ボロっちい貸し部屋。左の隅にはダブルベッド。右には台所へ続くドア。真ん中には、昔ながらのシンガーミシン。三月の半ば。午後四時ごろ。彼女は、ミシンを動かす手を止めて、縫いかけのドレスを両手で自分の胸にあてがうと、鏡の前...
『美しい話』まへがき

初級翻訳・『美しい話』まへがき 第1話

「美しい」ものを「美しい」と感じる心は、だれにだっておおらかにあるはずなのに、「ほんとうに美しい」ものと「みかけだけ美しい」ものとのちがいが、わからなくなっている人がものすごくたくさんいます。それからまた、「美しい」ということの意味を思いち...
『猿・鹿・熊』の序

初級翻訳・『猿・鹿・熊』の序 第1話

この本の作者と私は、顔見知り程度で、それほど深いお付き合いがあるわけではありません。でも、昔から地方ですごい努力をしながら立派な行いをしている人だというウワサは、かねがね聞いていました。そんなある日、この本を出版することになったので、「はじ...
「白い蛇、赤い蛇」

初級翻訳・「白い蛇、赤い蛇」 第1話

「白い蛇、赤い蛇」岸田國士 舟橋聖一氏の長編小説「白い蛇、赤い蛇」は、新聞の連載小説として書かれたものですが、なるほどこれなら、大抵の読者を満足させることに成功したことでしょう。作者は、無理に大衆ウケをねらっているわけではありません。かとい...
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