良寛物語 手毬と鉢の子

スポンサーリンク
新美 南吉

初級翻訳・良寛物語 手毬と鉢の子 第27話

わしもまだ達者でいるつもりじゃ」「いいえ、今度はもう帰ってこないつもりです」「何、帰ってこない? ではもう故郷へいって落ち着くつもりか」「どこに落ち着くやらわかりませんが、もうこちらへは参らないつもりです」「そうか、それもよかろう。だが、ど...
新美 南吉

初級翻訳・良寛物語 手毬と鉢の子 第26話

それに比べてわしは、一体何をし遂げただろうか。なるほど、わしは多くの書を読み、かなり苦しい修行も積んだ。人間や世界がどういうものか、大体わかることもできた。しかし、わしがこれまでやってきたことは、このまま何もしないで、のらくらと生きていくだ...
新美 南吉

初級翻訳・良寛物語 手毬と鉢の子 第25話

「それじゃあ、わしのお弁当を半分お食べなさい。えらく黒い飯で、お口に合うかどうか分かりませんがね。」「何の、何の。わしは黒いのが大好物でね。茄子と飯は、黒ければ黒いほどいい。」良寛さんは、そんな冗談を言いながら、弁当箱の蓋に分けてもらったご...
新美 南吉

初級翻訳・良寛物語 手毬と鉢の子 第24話

「お前らは全部立会人だ。一足も動いてはならん。」弥助さんは泣き顔をして、またみんなのところへ戻ってきた。「もうええだろう。」と言って、胸の深さまで掘った勘又さんが、穴から出てきた。「罪人を突き落とせ。」と役人は命じた。そこでちょっと動揺が起...
新美 南吉

初級翻訳・良寛物語 手毬と鉢の子 第23話

寂しいからといって、泣く気も起きません。泣いたところで、誰もどうしてくれるわけでもないのです。また、誰かが慰めてくれたとしても、それで癒えてしまうような浅い寂しさではありませんでした。しかし、良寛さんは思いました。昔の偉かったお坊さんたちは...
新美 南吉

初級翻訳・良寛物語 手毬と鉢の子 第22話

片手にはお土産の菜の束をぶら下げて。「慌てたって駄目なんだ」と大きな声で良寛さんは独り言を言いました。目の前の麦の中から雲雀(ひばり)が飛び出し、少し上がったかと思うと、囀(さえず)り始めました。「なるようにしかならないのだ」と良寛さんは雲...
新美 南吉

初級翻訳・良寛物語 手毬と鉢の子 第21話

しっかりと真理を聞いてくるのだぞ」そして良寛さんが出かけようとすると、和尚はこう付け加えました。「それからな、今晩あたり月がきれいだから、一杯飲みに来るようにと和尚に伝えてくれ。いい酒をいただいたから、とな」良寛さんが山門を出てくると、そこ...
新美 南吉

初級翻訳・良寛物語 手毬と鉢の子 第20話

瀬戸内海が細長く陸へ食い込んで湾になっている。その湾に向かっている丘の上に円通寺は建っていた。同じ港町でも、越後の出雲崎とこの玉島とでは、ずいぶん違っていた。越後の海は、冬になると暗い雲に閉ざされ、北から来る風が波を巻き上げた。波は怒った牛...
新美 南吉

初級翻訳・良寛物語 手毬と鉢の子 第19話

ああ、さっぱりした」良寛さんは剃刀を拭いて片付けた。「おい、良寛」「まだ何か用ですか」「あの、俺ちょっと遅くなるから、今夜お前、臼(うす)を挽いておけ」悪いお米を粉に挽いて、団子にして食べるのである。「いやです、今夜はあなたの番ですよ」「ほ...
新美 南吉

初級翻訳・良寛物語 手毬と鉢の子 第18話

私はもう、橘屋の長男・栄蔵ではありません。私は尼ヶ瀬の光照寺で小僧になりました。今日から私の名は良寛です」「良寛……?」お父さんはぼんやりとそうつぶやきました。「良寛です。親不孝な息子で申し訳ありません。でも、私にはこうするより他に道がなか...
スポンサーリンク