初級翻訳・鬼桃太郎 第2話

尾崎 紅葉

苦桃太郎はこれを見るやいなや、憤然として怒りをあらわにしました。
「おのれ毒竜め、貴様の鈍臭い振る舞いのせいで、俺の頼もしい部下たちを失ったではないか。出陣の門出にこれほど縁起の悪いことがあるか、憎い奴め!」
そう言って拳を固めると、毒竜の額を砕かんばかりに乱打を浴びせました。もともと荒っぽい気性の毒竜は、怒りに燃えて目を真っ赤に充血させ、金の鱗を逆立てました。それはまるで、木々の葉に激しい風が吹き荒れるかのようでした。

「やあ小憎らしい、偉そうな大将面をして! ならば竜王の真の力を見せてやる!」
毒竜は十間(約18メートル)余りもある尾を風車のように振り回し、苦桃太郎を七重に巻き上げました。骨も微塵になれとばかりに締め上げましたが、苦桃太郎は「生意気な」と唸り、全身にぐっと力を込めました。すると、あの毒竜の体はぶつりと断ち切られ、四段に分かれて倒れてしまいました。

魔力はたちまち解け、雲は吹き消されたかのように消え失せました。こうなっては空中に留まることなどできるはずもなく、苦桃太郎は遥か高い虚空から足場を失い、まるで小石のように真っ逆さまに舞い降りて、広大な大海原へ「ぼかん!」と激しく飛び込みました。

コメント

タイトルとURLをコピーしました