初級翻訳・ペンネンネンネンネン・ネネムの伝記 第2話

ペンネンネンネンネン・ネネムの伝記

ネネムは、とうとう一番上まで登りきりました。
クリの木のてっぺんというのは、もう、ものすごく寒い場所でした。
そこでふと気づくと、自分の手から、まるでクモの糸で作ったような不思議な網が、ぐらぐら揺れながら青空の向こうまでずっと広がっていました。
その揺れはだんだん激しくなって、ネネムは危うく下に落ちそうになるほどでした。
「ほら、網があっただろう。それを空へ投げるんだ。手がぐらぐらするのはな、風の中にいるサメやフカが網にぶつかっているからなんだ。おや、おまえ、震えているのか? 弱虫だなあ。投げるんだ、投げるんだ! ほら、早く投げろ!」
ネネムは、なんとも言えない嫌な気持ちになりました。
でも、仕方がないので、力いっぱい網を引き寄せて、それから精一杯、空の高いところへ投げつけました。
すると、目がぐるぐる回って、あんなに機嫌の良かったお日さま(おキレさま)までが、まるで真っ黒な土の玉みたいに見えました。そして、シュウッとはしごのてっぺんから下へ落ちてしまったのです。
「もう死んじゃった」とネネムは思いましたが、その次に、「耳が取れちゃった」と思いました。
なぜなら、ネネムはちゃんと地面の上に立っていて、紳士がネネムの耳をギュッとつかんで、ぶつぶつ文句を言いながら立っていたからです。
「おまえも情けないやつだな。なんてふにゃふにゃしてるんだ。おれが今、おまえの耳をつかんで止めてやらなかったら、今ごろおまえの頭はパチンと割れていただろうよ。おれはおまえの命の恩人なんだ。これからは失礼な態度をとるんじゃないぞ。さあ、登れ。登るんだ。夕方になったら食べ物を届けてやるし、夜になったら綿の入ったチョッキもやるから。さあ、登るんだ」
「夕方になったら、下へ降りてきてもいいんでしょう?」
「いいや、そんなわけないだろう。とにかくコンブが取れなきゃダメだ。どれ、ちょっと網を見せてみろ」
紳士は、ネネムの手にくっついていた網を引き寄せて、中を調べました。
網のずっと端っこの方に、三センチ四方くらいの、茶色くてヌラヌラしたものがついていました。
紳士はそれを取って、「ふん、たったこれだけか」と言いましたが、それでも少し嬉しそうに笑ったようでした。
そして、ネネムはまたはしごを登っていきました。
やっとてっぺんに着くと、また力いっぱい空に網を投げました。
それから、震える足をしっかり踏ん張って、網を引き寄せてみましたが、中には何も入っていませんでした。
「ほら、しっかり投げろ! 怠けるなよ!」
下では紳士が叫んでいます。
ネネムはそこで、また投げました。
やっぱり、何も入っていません。
また投げました。
やっぱりコンブは入りません。
疲れ果ててヘトヘトになったネネムは、「もうどうなってもいいから下に降りよう」としました。
すると、驚いたことには、はしごがなくなっていたのです。
そして、もう夕方になったのでしょう、ばけものたちの空は緑色に変わり、変な「ばけものパン」が下の方からふわふわと登ってきて、ネネムの前で止まりました。
紳士はどこへ行ったのか、影も形もありません。
向こうの木の上にいた二人も、しょんぼりと頭を下げて、パンを食べながら何かを考えている様子でした。
その木にかかっていた鉄のはしごも、もう見えなくなっていました。ネネムも仕方なく、ばけものパンをかじり始めました。

その時、あの紳士がやってきて、
「さあ、食べ終わったら、みんな早く網を投げるんだ。昆布を一斤(約六百グラム)捕るまでは、綿の入ったチョッキは絶対にやらないからな!」と大声で怒鳴りました。

ネネムは叫びました。
「おじさん! 僕はもう限界だよ。下におろしてよ!」

すると紳士が、下から怒鳴り返しました。
「何だって? パンだけしっかり食べておいて、あとは下におろしてくれだと? そんな勝手なことが許されると思うなよ!」

「だって、もう体が動かないんだもん!」

「そうか。それなら、動けるようになるまで休むんだな」と紳士は冷たく言いました。

ネネムはクリの木のてっぺんに腰をかけて、しみじみと体を休めました。

その時、クリの木がホッ、ホッと温かい湯気を吹き出したので、ネネムは体が少し温まって、ずいぶん楽になったような気がしました。

そこで、ネネムはもう一度元気を出して、網を空に向かって投げました。

空では、ちょうど星たちが青く輝き始めたところでした。

すると、今度の網はなんだかものすごく重いのです。

ネネムが嬉しくなって、一生懸命に網を引き寄せてみると、そこには確かに、とっても大きな昆布が一枚、ひらりと入っていました。

ネネムは大喜びで、
「おじさん! ほら、落とすよ! 取れたよ!」
と言いながら、それを下へと落としました。

「よくやった、よくやったぞ! よし、約束通り、綿のチョッキを届けてやる!」

下から、あったかそうなチョッキがふわふわと登ってきました。

ネネムは急いでそれを着ると、下に向かって言いました。
「おじさん、僕に一ドルくれるの?」

紳士は、下の方に立ち込める薄黄色のもやの中から言いました。
「ああ、一ドルやるさ。だけどな、パン代が一日一ドルなんだ。だから、一日に十斤以上の昆布を取ったら、それ以上の分は一斤につき十セントで買い取ってやろう。その余分に稼いだ分が、お前の儲けになるわけだ。そのお金は貯めておいて、いつでも払ってやるからな。その代わり、もし十斤に届かなかったら、足りない分はお前の損になる。その分は借金にしておくからな」

ネネムは、本当にがっかりしてしまいました。

向こうの木にいた二人の男は、もういくら星の光を頼りに目をこらして見ても、どこにも見当たりませんでした。

きっと、あまりにも仕事が辛すぎて、消えてなくなってしまったのでしょう。

でも、ネネムはここで決心しました。

それからというもの、昼も夜も、クリの木から出る湯気と、あのばけものパン、目に見えない不思議な網、意地悪な紳士、そして昆布。これらだけを相手にして、なんと十年間も、この仕事をずっと続けたのです。

この相手たちの中でも、特にパンと昆布の二つが、ネネムにとっての大きな大将(ライバル)でした。

最初の四年間は、毎日毎日借金が増えるばかりでした。次の五年間でようやくその借金をすべて返し終え、最後の三ヶ月間で、やっと手元にお金が貯まったのです。

そこでネネムは、ついに木から下へと降りて、貯まった三百ドルをふところに入れ、ばけものたちの住む街の方へと歩き始めました。

二、ペンネンネンネンネン・ネネムの出世

ペンネンネンネンネン・ネネムは、十年の間、ずっと木の上に立ち続けていたせいで、ズキズキと痛むひざをさすりながら、静かに森を出ていきました。

森の出口のところに小さな雑貨屋さんを見つけたので、ネネムは店に入って、真っ黒な上着とズボンを一つずつ買いました。

それから、急いでその新しい服に着替えながら、こう考えました。
「何か一生懸命勉強をして、役所の書記(事務員さん)になりたいな。もう、網を投げたり引き寄せたりする仕事なんて、思い出すだけでも寿命が縮みそうだ。

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