初級翻訳・帽子箱の話 第4話

佐藤 緑葉

将軍は手に持っていた杖で帽子箱を叩いて叫びました。

「そんなものを持ってか? 嘘をつくな。貴様、知っていながら嘘をついているな!」

「まあ、旦那様」と、ハリーは答えました。「そんな怖い顔でお尋ねにならなくとも」

「貴様は自分の立場がわからんのか」と、将軍は言いました。「貴様は俺の召使いだぞ。しかも、かねがね最も怪しいと睨んでいる召使いだ。その箱の中には、茶さじの一つでもくすね込んでいるんじゃないか?」

「いえ、この中にあるのは友人のシルクハットでございます」と、ハリーは答えました。

「よろしい」と、ヴァンデラー将軍は答えました。「では、その友人のシルクハットとやらを見せてもらおうか。俺はな」と、将軍は恐ろしい顔をして付け加えました。「妙に帽子の中身を確認したい癖があるのだ。それに貴様も知っているだろうが、俺は少々頑固な方でな」

「ご勘弁ください、旦那様。それでは実に困ります」と、ハリーは弁解しました。「それに、実のところ、これは個人の問題でございます」

将軍は片手でハリーの肩を乱暴に掴み、もう一方の手で杖を振り上げ、ひどく脅すような態度をとりました。ハリーはもうこれまでだと覚悟しました。しかしその時、天がチャーリー・ペンドラゴンという形で、思いがけない味方を遣わしてくれたのです。彼は木立の向こうから大股でこちらへ歩み寄ってきました。

「まあまあ、閣下、お待ちください」と、彼は言いました。「それは礼儀にも適いませんし、男らしいとも言えませんよ」

「ほう! ペンドラゴン君か!」と、将軍は叫んで、この新たな敵の方へくるりと向き直りました。「ところでペンドラゴン君、俺が君の妹と結婚したばかりに、君のような信用の置けない、身代限りの道楽者に後をつけられたり、邪魔をされたりして、平気でいられると思っているのか? 俺は家内と知り合ってからというもの、家内の家族の者はみんな嫌いになったよ」

「それではヴァンデラー閣下……」」と、チャーリーは言い返しました。
「あなたは私の妹が不幸にしてあなたと結婚したせいで、妻としての権利や特権をすべて失ったとでも思っているのですか。
はっきり言っておきますが、妹はこの結婚によって、誰が見ても悲惨な境遇に突き落とされたのです。
ですが、私にとっては、妹は今でもペンドラゴン家の人間です。
妹を守り、紳士にあるまじき暴行を受けさせないようにするのが私の務めです。
あなたがどれほど立派な夫だとしても、妹の自由を束縛することは許しません。
それに、妹の個人的な使いの者を、あんなに乱暴に取り押さえさせるなんて、もってのほかです」

「おい、ハートリー君」と、将軍が尋ねました。
「ペンドラゴン君も私と同意見らしいぞ。
この男もまた、ヴァンデラー夫人が君の友人のシルクハットと何か関係があるんじゃないかと疑っているんだ」

チャーリーは、とんでもない失言をしてしまったと気づき、あわてて取り繕おうとしました。
「何ですって、閣下?」と、彼は叫びました。
「私が疑っているですって? 私は何も疑ってなどいませんよ。
ただ、人が権力を振りかざして、自分より弱い立場の人間をいじめているのを目にしたから、それを正そうとしただけです」

そう言いながら、彼はハリーに合図を送りました。
しかし、ハリーはあまりに気が動転していて、状況が飲み込めず、その合図を悟ることができませんでした。

「俺は君の態度をどう解釈すればいいんだ?」と、ヴァンデラーは問い詰めました。
「さあ、どうとでも勝手に解釈すればいい」と、ペンドラゴンは答えました。

将軍は再び杖を振り上げ、ペンドラゴンの頭に一撃を食らわせようとしました。
しかし相手は足が不自由だったにもかかわらず、傘でその打撃を受け流すと、急いで走り寄り、たちまち恐ろしい敵に組み付きました。
「逃げろ、ハリー、逃げろ!」と、彼は叫びました。
「逃げるんだ、この馬鹿者!」

ハリーはしばらく石のように立ちすくみ、二人の男が激しく組み合ってのたうち回っている様子を眺めていましたが、やがて踵を返して逃げ出しました。
振り返ると、将軍がチャーリーに組み伏せられ、それを跳ね返そうと死に物狂いになっているのが見えました。
周囲の公園には、四方八方から喧嘩の様子を見ようと人が駆け集まってきているようです。
それを見た秘書役のハリーは、飛ぶように走り出し、ベーズウォータ通りに出るまで足を止めることはありませんでした。
それから、人通りの少ない横町へ、あてもなく飛び込みました。

自分の知っている二人の紳士が、あんなふうに激しく殴り合っているのを見て、ハリーはひどく面食らっていました。
彼はその光景を忘れてしまいたいと思いました。
何よりも、ヴァンデラー将軍から一日も早く遠ざかりたい一心でした。
そのことにばかり夢中になって、自分の目的地のことなどすっかり忘れ、震えながら一直線に駆け続けていました。

ふと、ヴァンデラー夫人が、あそこで戦っている男の一人の妻であり、もう一人の妹であることに思い至ると、不本意にもあんな不幸な立場に置かれた夫人に対する同情心が胸を打ちました。
また、将軍の家庭における自分の立場も、今回の乱暴な騒動を考えると、決して愉快なものとは思えませんでした。

そんなふうに考え込みながら少し走ったところで、他の通行人に軽くぶつかり、自分の手に帽子箱を抱えていることをようやく思い出しました。
「おや!」と、彼は叫びました。
「頭がどうにかなっているのか? 私はどこをさまよっているんだ?」

そこで彼は、ヴァンデラー夫人から渡された封筒を確認してみました。
そこには住所は書いてありましたが、宛名はどこにもありませんでした。
ハリーはただ「ヴァンデラー夫人から包みを受け取るべき紳士」を訪ね、もし留守なら帰ってくるまで待つように言いつけられていただけでした。
おまけに、その紳士から夫人宛の自筆の受取書をもらってくるように、という注意書きまで添えられていました。

このことは、どう考えても不思議でした。何より、宛名が省かれていることや、受取書の形式が、ハリーをひどく驚かせました。
夫人からこのことを話の端々に聞いたときは、深く考えもしませんでしたが、今こうして冷静に読み返し、他の不可解な出来事と結びつけてみると、自分が何か危険な事件に巻き込まれているのだと気づいたのです。

ほんの一瞬でしたが、彼はヴァンデラー夫人その人さえ疑ってしまいました。
このような曖昧なやり口は、あの地位の高い夫人にふさわしいとは思えず、もし彼女が秘密を自分に隠していたのだとしたら、事態はさらに危ういものになるからです。
しかし、彼を支配している夫人の影響力は、どこまでも深いものでした。
彼は自分の疑念を打ち消し、そんなことを考えてしまった自分を、かえって責めるのでした。

それでも、一つだけ確かなことがありました。彼の義務と利害、そして寛容さと恐怖心が、一つの結論で一致したのです。
――それは、一刻も早くこの帽子箱を処分してしまうことでした。
彼は最初に出会った巡査に声をかけ、丁寧に行き先を尋ねました。

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