2026-08

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小川 未明

初級翻訳・酔っぱらい星 第1話

佐吉が布団で眠っていると、高い窓の破れ目から、ちらちらと星の光がさし込んできます。それは、青いガラスのようにすんだ冬の空に、ピカピカと輝いているのでした。仰向けになって、じっとその星を見つめていると、星の光が福々しいおじいさんの顔に見えてき...
芥川 竜之介

初級翻訳・酒虫 第3話

眼にはいるのは、それだけであるが、同時に、劉の想像には、その瓶のうす暗い内部に、黄金のやうな色をした酒のなみ/\と湛へてゐる容子が、浮んで来た。思はず、ひびの出来た唇を、乾いた舌で舐めまはして見たが、唾の湧く気色は、更にない。汗さへ今では、...
芥川 竜之介

初級翻訳・酒虫 第2話

見ると、背が高く、まるで紫石稜(しせきりょう:美しい宝石のような石)のような鋭い目を光らせた、見慣れない格好のお坊さんである。黄色の法衣を着て、その肩には、クルクルと縮れた長い髪をうるさそうに垂らしている。その男は、赤い柄のついたハエたたき...
芥川 竜之介

初級翻訳・酒虫 第1話

一 近年にないすさまじい暑さである。どこを見渡しても、泥で固めた家々の屋根瓦が、鉛のようにどんよりと日の光を照らし返し、その下にかけられたツバメの巣さえ、この様子では中にいるヒナや卵がそのまま蒸し焼きになってしまうのではないかと思えるほどだ...
小川 未明

初級翻訳・酒屋のワン公 第2話

私は町や村や、いろんなところを歩いてきました。そして、どこに親切で、人間の道理がよくわかる人が住んでいるかも知っているのです。私は今日からあなたのお母さんになって、面倒を見てあげますからね……さあ、一緒にまいりましょう」よくよく考えてみると...
小川 未明

初級翻訳・酒屋のワン公 第1話

酒屋にやってきた小僧は、どこかの孤児院からやってきたということでした。それを見ても、彼には頼るものが何もなかったのです。ものを話すときにも、相手の顔をじっと見つめました。その目つきはやさしそうに見えたけれど、どこか不安な影が宿っていました。...
宮本 百合子

初級翻訳・郵便切手 第2話

そう言われる時がやってきて、働いていたあのたくさんの女性たちは、みんな切手の中から抜け出して、生活費を稼ぐ必要という荷物もまとめて家庭へと帰っていったとでもいうのだろうか。全国で七百五十万人を失業させようというその最初のターゲットは、三百五...
宮本 百合子

初級翻訳・郵便切手 第1話

これまで、郵便切手というものは、私たちのつましい生活と深いつながりのある、親しみぶかいものであった。三銭の切手一枚で封書が出せた頃、あのうす桃色の小さい四角い切手は、都会に暮しているものには故郷のたよりを、田舎に住んでいるものには都会の生活...
槙村 浩

初級翻訳・郵便さん 第1話

ポストに カチッ、カチッと かぎをさして中から 郵便物を とり出してスタンプを ポンと押したら エッサッサとなりの村へと エッサッサ腰のあたりで かばんが ガッタガタ腰のあたりで わらじが ブーラブラ早く行け、行け! エッサッサ早く行け、行...
中谷 宇吉郎

初級翻訳・郭公のおとずれ 第1話

六月に入って少しすると、カッコウ鳥が鳴き声を響かせます。そして、カッコウと一緒に、みんなが待ちに待った北海道の初夏がやって来るのです。長くて寒い北国の春にすっかり疲れてしまった人々は、さわやかな初夏の風が、ようやく出そろったニレの木の青葉を...
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