初級翻訳・蛍の灯台 第1話

蛍の灯台

著者から

 童謡(どうよう)とは、子どもたちのまっすぐな心(童心)から生まれる「言葉の音楽」です。
子どもの心から生まれた言葉の音楽に、素晴らしい芸術としての価値があるとき、それを「童謡」と呼ぶことができます。
また、童謡は、子どもの心から湧き出た「自然の詩」だと言うこともできます。
子どもの心から湧き出た自然の詩は、何にも汚れていない、どこまでもピュアな芸術です。
このピュアな芸術が歌になったとき、童謡になるのです。
童謡は、子どもの心から生まれる言葉の音楽であり、自然の詩ですから、その表現はとてもシンプルに作られています。
「シンプル」ということは、実は、複雑なものを突きつめた究極のカタチなのです。ですから作品にすぐれた芸術的価値があるかどうか(特に童謡においては)は、シンプルに表現されているかどうかで分かることが多いのです。
童謡を作り始めたばかりの頃は、伝えたい内容を説明することばかりに夢中になってしまい、どうしても深みのない、ペラペラとした平坦な表現になってしまいがちです。けれど、作者に芸術を見抜く目さえあれば、練習を重ねることで「あ、そうか!」と自分で気づき、素晴らしい歌が書ける日がやってきます。
シンプルに表現された作品を見て、「子どもっぽいな」とか「つまらないな」と思ってしまうのは、子どものような素直な心を忘れてしまった人に多かったりします。
大昔の哲学者カントが言った「永遠の子どもらしさ(永遠の児童性)」とは、すでに知っている知識や思い込みを飛び越えた、ピュアで何色にも染まっていない世界のことです。一見すると子どもっぽくて、つまらないと思われてしまうような表現の中にこそ、実は童謡の本当の魂が宿っているのです。
自然とまっすぐ向き合い、まるで自然とガシッと握手ができるような心――それこそが「永遠の子どもらしさ」であり、「童心」なのです。
童謡は子どもの心から自然と生まれる芸術ですから、頭でガチガチに計算して意識的に作ることは、童謡の本当の姿ではありません。
童謡は、どこまでも歌の形をした「子どもの心の芸術」なのです。
こうして考えてみると、この本に載っている僕の作品たちは、まだまだ準備不足で、ちょっと不十分だったかもしれないなあと思ってしまいます。
けれどこの本は、僕の前の作品集である『青い眼の人形』を出したあとに作った曲を一冊にまとめたものです。ですから僕としては、たとえ未熟な作品であったとしても、自分が成長していくための大切な道のりの記録として、いつか未来の参考になればいいなと思っています。

コメント

タイトルとURLをコピーしました