初級翻訳・シンデレラ 第3話

シンデレラ

翌日、姉たちはダンス・パーティへ行きました。
シンデレラも行きました。
昨日のパーティのときより、もっとおめかししていきました。
王子さまはずっとシンデレラのそばにいて、いつもやさしい言葉をささやいてくれました。
あまりにも楽しかったものですから、シンデレラは時間のことなんて、すっかり忘れていました。
いまは十一時くらいかな、とぼんやり思っていたのです。
するとどうでしょう、十二時の鐘がなっているではありませんか。
シンデレラはびっくりして飛び上がり、ウサギのようにそそくさと逃げ出さなくてはなりませんでした。
王子さまは一生懸命追いかけましたが、シンデレラはもう行ってしまったあとでした。
けれど、シンデレラのガラスの靴が、片方だけ残っていました。
王子さまはそっと、その靴を拾い上げました。
シンデレラは息を切らしながら、なんとか家へ帰れました。
服はすっかりもとのぼろに戻っていて、きれいだったあれやこれやは、なにもありません。
ただ、お城で落とした、ガラスの靴のもう片方だけが残っていました。
そのすぐあと、お城の門番が、だれかお姫さまが抜け出さなかったかと聞かれました。
すると門番のひとりが、若い娘がひとり出ていったと答えました。
けれども、ぼろをまとっていて、お姫さまというよりは、貧しい田舎の娘という感じだった、と。
やがて、ふたりの姉もパーティから帰ってきました。
シンデレラは、楽しかったですか、またあの素敵なお姫さまはいましたか、と聞きました。
ふたりは、ええ、いましたわ、と答えました。
でも、十二時の鐘がなったとき、あわてて飛び出していって、あわてすぎて、ガラスの靴を落としていったのよ、と。
とってもかわいい靴で、王子さまがそれを拾ったの。
だって、パーティの間じゅう、ずっとそのお姫さまのことばかり見ていたんですから、あたりまえのことだけど、と続けました。
そして最後に、王子さまはそのガラスの靴のお姫さまに、ひとめぼれしたにちがいないわ、と付け加えました。
ふたりの言ったことは、まったくそのとおりでした。
何日かたった日のこと、トランペットが鳴って、王子さまからのお触れがあると言いました。
なんと、その拾ったガラスの靴が、ぴったり足に入る女の人を、王子さまの花嫁にするというではありませんか。
王子さまに言われた役人は、いろんなお姫さまに、その靴をはいてもらいました。
それからいろんな人の奥さんや、お城にいる娘たちにもはいてもらいましたが、ぴったり入る人はだれもいませんでした。
靴はまわりまわって、シンデレラの家にもやってきました。
姉たちはなんとかして靴に足を押し込もうとしましたが、どうにもこうにもなりませんでした。
シンデレラは横で見ていて、ガラスの靴が、うばからもらったあの靴だということに気がつきました。
そこで、笑いながら言いました。
「わたしにも、あわないかどうかだけ、たしかめても?」
ふたりの姉はぷっと吹き出して、シンデレラをからかいました。
でも、靴の持ち主を探している役人は、シンデレラをじっと見つめました。
役人は、シンデレラがとてもりりしい顔をしていると気づいたのです。
そこでお役人は、こう言いました。
はいてごらんなさい、だれにでも試してみよと言われておりますので、と。
お役人は、シンデレラを椅子に座らせ、足に靴をあてがうと、するりと入ってしまいました。まるですべすべに磨いたかのように、シンデレラの足に、その靴はぴったりと収まりました。
二人の姉はあまりのことに驚いて、何も言葉が出てきません。
でも、次の瞬間、彼女たちはもっと驚くことになりました。
シンデレラがポケットからもう片方のガラスの靴を取り出し、自分の足にはめたからです。
そこへ魔法使いのおばあさんがやってきて、シンデレラのぼろ服をステッキでちょんと叩きました。
するとシンデレラの服は、みるみるうちに、ダンス・パーティで着ていたものよりも、さらに美しい衣装へと変わってしまいました。
さすがに姉たちも、ダンス・パーティで見たあのお姫さまが、自分の妹のシンデレラだったのだとようやく気がつきました。
二人はシンデレラの前にひざまずき、今までこんなにひどいことをしてしまったけれど、どうか許してほしいとお願いしました。
けれども、シンデレラは二人の顔を優しく持ち上げると、ぎゅっと抱きしめました。
そして、こう言ったのです。
「いいのよ、本当に、いいのよ。
ただ、これからもずっと仲良くしてくれたら、わたしはそれだけで幸せだわ。」

シンデレラはその美しい姿のまま、王子さまのもとへ案内されました。
王子さまは、今日のシンデレラが、今まで出会った誰よりも一番美しいと心から思いました。
数日後、シンデレラと王子さまは結婚式を挙げました。
心の優しいシンデレラの取り計らいで、二人の姉も同じお城で暮らせるようになり、シンデレラの結婚式と同じ日に、姉たちもそれぞれお城の立派な身分の方と結婚したのです。

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