初級翻訳・マッチ売りの少女 第2話

マッチ売りの少女

そうしなければ、大すきなおばあさんがどこかへ行ってしまうと思ったからです。
マッチの束が一気に燃え上がり、その光はまるで真昼の太陽よりももっと明るくあたりを照らし出しました。
それはもう、赤々と激しく燃えていました。
これほど明るくなっても、おばあさんは消えることなく、いつもと同じやさしい姿のままでした。
おばあさんは昔のように、少女をやさしい腕の中にギュッと抱きしめました。
そして二人は、ふわっと空へ浮かび上がっていきました。
寒さも、お腹ペコペコなことも、悲しみも痛みも、もう何もないところへ。
神さまのいる、ずーっと遠くの明るい光の中へと、高く高くのぼっていったのです。

朝がやってくると、みすぼらしい服を着た少女が、建物の壁によりかかったまま動かなくなっていました。
少女のほほは青ざめていましたが、その口もとはふんわりと笑っていました。
大みそかの凍えるような寒さの中で、少女は天国へ召されてしまったのです。
今日は一月一日、新しい年の一番初めの太陽が、ぽつんと横たわる小さななきがらを優しく照らしていました。
少女は座ったままの姿勢で冷たくなり、その小さな手の中には、すっかり燃え尽きたマッチの束がぎゅっと握りしめられていました。
「この子は、身をあたためようとしてマッチをすったんだね……」と、通りがかった人たちは口々に言いました。
けれど、少女がマッチの光の中でどれほどふしぎできれいなものを見たのか、そして大すきなおばあさんといっしょに、どんな気持ちで新しいお祝いの空へ旅立ったのか――。
そんなことは、だれも知る由もありませんでした。
だれも……。

そしてまた、新しい一年が静かに始まりました。

コメント

タイトルとURLをコピーしました