むしろ、わたしは今日現在の自分の未熟さを、誰よりも深く知っています。
一つひとつの詩についても、その足りないところを細かく知りすぎているがゆえに、他の人の十倍もの苦しみをあえて引き受けようとは思いません。
この本には、『水墨集』を出した後の、およそ八年間の詩作品を集めました。
竹林に恵まれた小田原の山荘での、震災前後の生活。珠数工の隣に住んだ、谷中天王寺十八番地の仮住まいの時代。大森の馬込で、月光の谷を見下ろした丘の上での一年。この長い日月の間に、わたし自身が「これこそ第一の詩集だ」と呼べる一冊を出版することにためらいを感じていたのは、自分自身の未完成さをあまりにも深く知っていたからです。
自分を大切にしすぎたからだとは思いません。
ただ、良心がそれを許さなかったのです。
最後に、本集の装丁にあたって、『篁』や『月と胡桃』の時と同じく、中山省三郎君の協力を得たことに感謝します。
(世田ヶ谷若林にて)
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