どんぐり 初級翻訳・どんぐり 第1話 もう何年前のことだったか、正確な年は思い出せないけれど、日付だけははっきりと覚えている。一年の終わりが押し迫った十二月二十六日の夜のこと、妻は下女(お手伝いさん)を連れて、下谷(したや)の摩利支天(まりしてん)の縁日へと出かけていった。夜の... どんぐり寺田 寅彦
どんぐり 初級翻訳・どんぐり 第2話 一人でどこへでもいらっしゃいと言う。まあともかくもと美代がすかしなだめて、やっと出かける事になる。実にいい天気だ。「人間の心が蒸発して霞になりそうな日だね」と言ったら、一間ばかりあとを雪駄を引きずりながら、大儀そうについて来た妻は、エヽと気... どんぐり寺田 寅彦