室生 犀星

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不思議な魚

初級翻訳・不思議な魚 第2話

李一はもともと欲しかったこともあり、財布の中から二十銭の銀貨を一枚取り出して、男の手の上に渡しました。「買ってくれるのかい?」「二匹だけ売ってください。」李一は小さなガラスの瓶に二匹の人魚を入れて、すっかり夜になった海岸の町を通り、家へ向か...
不思議な魚

初級翻訳・不思議な魚 第1話

漁師の息子である李一(りーい)は、ある秋の日の暮れ方、町のある都へ本を買いに出かけました。李一が作文と数学の本を包んでもらって本屋を出たのは、日暮れとはいえ、まだ辺りが明るいうちのことでした。その時、反対側の町から、魚屋の盤台(ばんだい)の...
不思議な国の話

初級翻訳・不思議な国の話 第3話

決まって夜になると、こっそり部屋から抜け出すんだそうだよ。――けれども何しろ自分の娘のことだし、そんなことを世間の人に話すわけにもいかないから黙っていたんだけれど、娘のほうは相変わらずそんな父親が監視していることなど知らないものだから、お構...
不思議な国の話

初級翻訳・不思議な国の話 第2話

私は毎日うちの裏の河原へ出ては、ぼんやりとその山を眺めていました。お姉ちゃんが話してくれた山の上の、あの青くて古い池の色までが、じっと佇んでいる私の目にひとりでに浮かんでくるような気がしました。何でも非常に静かで、うっそうとした雑木林に囲ま...
不思議な国の話

初級翻訳・不思議な国の話 第1話

そのころの私は、なんだか不思議な気持ちで、毎朝ぼんやりとその山を眺めていたのです。それは私の住む街から二十キロほど離れた、医王山(いおうぜん)という山でした。春になると、山はいつの間にか紫がかった優しい色に包まれ、まるでまだら牛のように、あ...
ゆめの話

初級翻訳・ゆめの話 第2話

「どうしたのだ、気をしっかり持つんだ」多門はそう言ってはお萩に水を飲ませ、体を起こしてやりましたが、しばらくしてやっと息を吹き返し、多門の顔をじっと見つめました。多門はふと、その顔がさきほどの女の顔によく似ていると思いました。「気分はよくな...
ゆめの話

初級翻訳・ゆめの話 第1話

むかしむかし、加賀百万石(かがひゃくまんごく:いまの石川県)のお城のふもとに、長町(ながまち)というお侍(さむらい)たちの暮らす町がありました。そこは、大きな木々が立ち並び、お屋敷をすっぽりと包みこんでいるため、昼間でもうす暗くて、とても静...
ふたりのおばさん

初級翻訳・ふたりのおばさん 第2話

鉄瓶の底が火で焼けてとても熱くなっていたのです。「リョウヘイさん、敷居というものにはね、親の額(ひたい)があるんだよ。だから、そんな熱いものを置いちゃいけません」「親の額って、なんだか変だな」「親の額みたいに、とても大切な場所だっていう意味...
ふたりのおばさん

初級翻訳・ふたりのおばさん 第1話

一 カニと機械子どもなのに、どうしてあんなにたびたびタカダのおばさんの家へ遊びに行ったかといえば、それはおばさんが、話し方もやさしくて、子どものいやがるようなことを決して言わなかったからでした。子どものいやがることを言う大人というのは、決ま...
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