泉 鏡花

スポンサーリンク
化鳥

初級翻訳・化鳥 第6話

あんなに具合よく、美しい羽の生えたお姉さんが、いつもいつもそばにいてくれるわけじゃないんだから。また落ちたりしたら大変でしょう」母様はちらりとこちらを向いて、清らかな瞳でご覧になると、にっこりと微笑んで、また俯いてせっせと縫い物をしていらっ...
化鳥

初級翻訳・化鳥 第5話

あんなにお腹の膨らんだ人は、おへそから下、膝から上を見たことがないのだ、とそう言われています。あら! あら! 短服に靴を履いたものが転がってくるぞ、と思ってじっと見ていると、橋の真ん中あたりへ来て鼻眼鏡をはずしました。霧がかかって曇ったので...
化鳥

初級翻訳・化鳥 第4話

これほど面白くて、素晴らしいことはありません。しかし、私にこんな良いことを教えてくださった母様を思うと、急に心が沈みました。これはちっとも面白くなくて、悲しいことだ。もったいないことだ、と思ったのです。だって、母様はこうおっしゃるのですから...
化鳥

初級翻訳・化鳥 第3話

本当にぼく、花の方が綺麗だと思うもの。ねえ母様、あのお屋敷の坊ちゃんの、青だの紫だのが混ざった着物より、花の方が美しいって、そう言うのね。だもの、先生なんざ……」「あれ、だってもね、そんなこと人の前で言うのではありませんよ。お前と母様のほか...
化鳥

初級翻訳・化鳥 第2話

ぼくの家の橋の下を、舟を漕いで行く人たちが何か歌っているけれど、何を言っているのか、鳥が声を大きくして長く引き伸ばして鳴いているのと違いませんもの。ずっと川下の方で『ホーホー』って呼んでいるのは、あれが人間なのか犬なのか、ぼくには分からない...
化鳥

初級翻訳・化鳥 第1話

一 愉快だなあ、愉快だなあ。お天気が悪くて外へ遊びに行けなくたって平気さ。笠をかぶって、蓑(みの)を着て、雨の降るなかをびしょびしょに濡れながら、橋の上を渡っていくのは猪(いのしし)なんだ。 菅笠(すげがさ)を深くかぶって、雨に濡れないよう...
スポンサーリンク