初級翻訳・お姫さまと猟師 第1話

お姫さまと猟師

お姫さまは朝から、とってもご機嫌ななめでした。
ぷりぷりと怒っているので、いつものかわいいお姫さまとはちがって、まるで年をとったおばあさんのように、こわい顔をしていました。
そこへ、お姫さまが大好きな猟師が、山から帰ってきました。
そして、猟師が言いました。
「お姫さま、今日は獲物がひとつもございませんでした」
「獲物がなかったの?」とお姫さまが言いました。
そして、お姫さまは泣き出してしまいました。
そこで、猟師は言いました。
「それがですね。私はドカンと鉄砲を撃ちました。猟犬のレオが一目散に走っていって、獲物をくわえてきました。まあ、おどろくじゃありませんか、おもちゃの熊なんです。しかも、そのおもちゃの熊は死んでいました。また、獣が出てきました。真っ白で、犬くらいの大きさのやつなんです。『これだ!』と思って引き金を引きました。レオが飛んでいきました。まあ、なんて情けないことでしょう。白い、小さな子犬でした。しかたがないので谷へおりていって水を飲もうとすると、目の前にワニほどもある大きな魚が泳いでいるではありませんか。私はすっかりおなかが空いてペコペコでした。急いでそれをつかんで口の中に放り込みました。まあ、なんて硬い肉でしょう。私の前歯が四本とも、ポロポロと折れてしまいました。お姫さま、それは五寸くらいの、鉄でできたおもちゃの魚でした。私は情けなくなって、ぐったりと大きな木に体をあずけようとすると、ドシンとひっくり返ってしまいました。なんと、木なんてどこにもなかったのです。よくよく足元を見ると、おもちゃの松の木が転がっていました」

この猟師は、そう言いながら泣きそうになりました。とても年寄りだったので、無理もありません。
「まあ、あなたは馬鹿ねえ。どうしてそのおもちゃを、私にもって帰ってくれなかったの?」とお姫さまが言いました。
猟師は、とても困った様子で胸をドキドキさせながら、涙をこぼしました。
「お姫さま。私もそう思いました。それで、それを拾い上げてこの網の中に入れようとすると、どれも網の中には入らず、外へこぼれ落ちてしまいました。お姫さま、あれはきっと夢だったのでしょう」

お姫さまは大きな声で笑いました。美しいお姫さまがご機嫌をなおしたので、猟師はやっと安心して胸をなでおろしました。
そして、ふたりでいつまでも笑い合いました。

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