1
シルクハットに、かっこいい洋服、
とってもきれいな肩掛けをまとって、
ステッキまで持っている、おしゃれなかかしさん。
2
そこへ、にわとりさんがやってきて、
「コケ、コケ!」と、
かかしさんのステッキをけとばした。
コツ、コツ、コケ、コケ、
コケ、コツ、コケ。
3
にわとりさんは、ちょっとうらやましいのかな。
自分はシルクハットも、肩掛けも、
洋服もステッキも、なにも持っていないから。
4
にわとりさんは、こう言いました。
「シルクハットに洋服、
ステッキに肩掛けまでつけて、
あいつはいったい何様だ。かかしのくせに、なまいきだ!」
5
それを聞いて大喜びしたのは、ひよっこさん。
ピヨ、ピヨ、ピヨ、ピヨ、と
元気に跳ねてやってきて、
かかしさんのステッキをけとばした。
ピヨ、ピヨ、コツ、コツ、
ピヨ、コツ、ピヨ。
6
にわとりさんとひよっこさんは、
畑の種をほじくりだします。
コツ、コツ、コツ、コツ、
一生懸命ほじくりだす。
そこへ農夫さんがやってきて、
目をぱちくり、びっくり仰天。
7
農夫さんは、こう言いました。
「お前はそれでも、かかしなのか!
このなまけかかしめ、よく見てろよ。
今にどうなるか、覚悟しておけ!」
8
シルクハットと洋服と、
きれいな肩掛けとステッキは、
ブル、ブル、ブル、ブル、
ブル、ブル、ブル。
怖くて震えて、止まりません。
ブル、ブル、ブル。
9
にわとりさんとひよっこさんは、
ピヨ、ピヨ、コケ、コケと、
まだまだ地面をほじくります。
もっと、もっと、ほじくる。
畑の種を、どんどんほじくる。
10
それを見て怒った農夫さん。
「いたずらな、にわとりとひよっこめ!」
かかしさんのステッキを、ぐいっと振り上げました。
11
そのとき、急に夜がやってきました。
にわとりさんも、ひよっこさんも、
どこへどうしたのか、
すっかり見えなくなっちゃった。
12
すると、にわとりさんとひよっこさんは、
ピヨ、ピヨ、ピヨ、と大喜び。
コケ、コケ、ピヨ、ピヨ、
コケ、ピヨ、コケ。
シルクハットも洋服も、
きれいな肩掛けも、
胸をなでおろして、ほっと一安心。
13
かかしさんのお父さんがやってきて、
かかしさんを連れて帰っていきました。
14
懐中電灯をピカッと光らせて、
にわとりさんのお父さんもやってきた。
にわとりさんとひよっこさん、
ピヨ、ピヨ、コケ、コケ、
みんな一緒に帰っていきました。
15
農夫のお父さんもやってきて、
「なにをグズグズしているんだ!」
農夫さんも連れて帰っていきました。
16
すると、辺りはパッと明るくなりましたとさ。
これで、おしまい。
さようなら。
コメント