でも、ぼくらには一日に三時間の勉強時間すらないんだ。それもたいていは疲れて眠くなってしまう。先生といったら講義録だけ。わからないところができて質問しても、なかなか返事は来ない。けれども、ぼくたちは一生懸命に勉強していかなければならないんだ。ぼくは、どうにかしてもっとみんなで一緒に勉強できるようなやり方をしたいと思う」
その少年は座りました。
わたしは思わず跳び上がりました。
「諸君! 諸君の勉強はきっとできる。きっとできるんだ! 町の学生たちは仕事の合間に勉強はしている。けれども、何のために勉強しているのか、もう忘れちまっている。先生のほうでも、なるべくたくさん教えようとして、生徒の頭をパンクさせてぐったりさせている。そのうえ、テニスだのランニングも必要だと言って盛んにやっている。諸君はテニスや野球の競争なんてやらない。けれども、体のことならもうやりすぎるくらい動かしている。さあ、どっちが先に進むだろうか? それは何といっても、向こうの方が進むだろう。そのとき、ぼくらは過酷な仕事をしたほかに、どうやってあいつらに追い付くというのか? さっき諸君が言った通りだ。向こうは何年か専門で勉強すれば、あとはゆっくりそれで暮らして、酒を飲んだり家を持ったりして、だんだん勉強しなくなっていく。こっちは、いつまでも今のこの勢いで、一生勉強し続けるんだ! 諸君、酒を飲まないことで、酒を飲む者より一割余計に力を得られる。タバコを吸わないことで、さらに二割余計に力を得られるのだ!」まっすぐに進む方向をしっかりと決めて、頭の中のいろんな考えを整理するだけで、ぐちゃぐちゃに迷っているときと比べて、二割以上もパワーアップできるんだ。
そうさ、あの人たちがよからぬことを考えたり、仲間同士でくだらないケンカをしたりしているエネルギーを、みんなぼくらの本当の幸せを生み出すために使えばいいのさ。
見てごらん、諸君はあっという間に、あんな人たちよりも何倍もの力を手に入れることができるはずだ。
だけど、こういう生き方を、これまで通りの暮らしをしている他の人たちに無理やり押し付けちゃいけないよ。
あの人たちは、あんなふうにお酒でも飲まなきゃ、寂しくて寒くてとても生きていられないような、そんなつらい時代に生まれてきたんだからね。
ぼくらは黙って、自分たちの道を歩んでいこう。
風からも、きらきら光る雲からも、諸君には新しいエネルギーがどんどん湧いてくる。
そして諸君は、まもなくこの場所、この野原に、昔のどんなおとぎ話よりもずっと素晴らしい「ポラーノの広場」を作り上げるだろう!
」
みんなは大喜びで声をあげました。
ファゼーロが言いました。
「ぼくらはねえ、冬の間にしっかり勉強しようよ。
みんなで同じ本を読んで、五日に一晩はこの工場に集まって、お互いに分からないところを質問したり教え合ったりしようじゃないか。
ねえ、キューストさん。
あなたは何か僕たちに教えてくれるかい?」
「ああ、ぼくはねえ、昔は植物の先生をやっていたから、植物のしくみのことや、他にも役に立つことを三つくらいは教えてあげるよ。
それはねえ、
今までみたいに、どうでもいい余計なことまで無理して覚えて物知りになろうなんてしなくていいんだ。
本当に大切な骨組みと、必要なところだけをやればいいんだからね。
あとは実際の仕事が自然にやり方を教えてくれるし、だんだん自分で本を読めるようになっていくからさ。」
「ぼくらは冬になったらあの工場に集まって、いろんなものを作ろうじゃないか。
ファゼーロは革を染めるだろうし、ぼくは下手くそだけどチョッキくらいなら作れるよ。
ミーロはいつでも上手に帽子を作っているんだから、仕事として本格的にやればもっと上手にできるはずさ。」
「そうそう、そうだ!
ぼくらは冬の間に作ったものを、お互いに交換し合おうよ。
ぼくは木を切って何かを作るのが好きだからさ!」
「やろう、絶対にやろう!
夏には畑や野原で一生懸命働いて食べるものを収穫して、冬にはお互いに必要なものを作って交換し合うんだ……。」
ミーロは、急に風がものすごく強く吹きつけてきたので、目を細めながら腰を下ろしました。
ハンノキの木も、まるで弓のようにぐにゃりと曲がっています。
そんな強い風の中で、わたしは再び立ち上がりました。
「そうだ、諸君、新しい時代はもうすぐ来ているんだ!
この野原の中に、まもなく千人の天才たちが集まって、お互いを尊敬し合いながら、それぞれ自分の仕事を生き生きとやり遂げていくだろう。
ぼくもいっそ、きみたちの仲間に入っちゃおうかなあ!」
「ああ、ぜひ入ってよ!
おい、みんな! キューストさんがぼくたちの仲間に入ってくれるってさ!」
「それならロザーロ姉さんをもらったらいいじゃないか!」誰かが大声で叫びました。
わたしは思わずドキッとして、体が固くなってしまいました。
「いや、ぼくはまだまだ勉強しなくちゃならないんだ。
この野原に完全に飛び込んでしまうのは、今のぼくにとっては良くないことなんだよ。
いや、ぼくは仲間には入れない。
入れないんだ。
なぜなら、ぼくはもう何でもかんでも完璧にできるような人間じゃないからさ。
ぼくは貧しい教師の子供として生まれて、ずっと本ばかり読んで育ってきた。
諸君みたいに、激しい雨に打たれ、強い風に吹かれてたくましく育ってきたわけじゃないんだ。
ぼくの考えは完全にきみたちと同じだけど、この体はそうはいかないのさ。
だけど、ぼくはぼくのやり方できっと仕事をやり遂げるよ。
ずっと昔から、この野原の豊かさを今より三倍にも増やす方法を考えていたんだ。
ぼくはそれを必ず実行してみせるよ。」
(原稿約一枚分空白)
そしてわたしどもは立ち上がりました。
風がどうっと激しく吹き付けてきました。
みんなは思わず風を避けるように後ろを向いて身をかがめ、わたしはさっきから大声で叫びすぎたせいで、風で喉がいっぱいになってむせ返りました。
ハンノキの木のてっぺんも、まるで地面に届きそうなくらいにしなっていました。
「さあよし、やるぞ!
ぼくはもう革を十一枚あの場所に漬け込んでおいたし、釜一杯分の木材もすぐそこに用意してある。
今夜は、新しいポラーノの広場の開場式だ!」
「それじゃあ、お酒の代わりにきれいな水で乾杯しようか!」とその年寄りの人が言いました。
みんなはドッと笑い声をあげました。
「よし、やろう!
表に出るぞ。
おいミーロ、おれが井戸から水を汲んでくるから、きみは戸棚からコップを出してくれよ!」
ファゼーロはバケツを持って外へ飛び出していきました。
みんなはアセチレンランプを片手に、工場の外の芝生へと出ました。
そして草むらに車座になって座りました。
ミーロがみんなにコップを配っていきます。
ファゼーロが重そうなバケツを提げて戻ってきて、
「さあ、まずはコップをきれいに洗うんだぜ!」と言いながら、みんなのコップにおたまですいすいと水をついでいきました。
わたしは、そのお水があまりにも冷たくて、全身がブルッと震え上がるような気持ちがしました。
みんなはかじかむ指でゴシゴシとコップを洗いました。
初級翻訳・ポラーノの広場 第17話
ポラーノの広場
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