初級翻訳・ポランの広場 第2話

ポランの広場

お酒を飲まずに、水を飲む、
そんなつまらん奴らがやって来ると、
ポランの広場も白けちまう、
ポランの広場も台無しだ!」

(まわりのみんなは、気の毒そうにキュステとファゼロの二人を見つめます)

キュステ「おい、ファゼロ、もう帰ろう。」

ファゼロ(今にも泣き出しそうになりながら、スピーチ台にのぼって歌います)

「シロツメクサの花が香る夜は、
ポランの広場の夏祭り。
ポランの広場の夏祭り。
お酒の飲み方がとっても汚い山猫が、
黄色いシャツを着てやって来ると、
ポランの広場に雨が降る、
ポランの広場に雨がポツリと落ちてくる!」

山猫博士(かんかんに怒って)「なんだと、失礼なやつめ! 決闘だ、決闘をしろ!」

キュステ「バカなことを言うな! お前が先に悪口を言っておいて、こんな子供に決闘を申し込むなんておかしな話があるか。よし、おれがお前の相手になってやる!」

山猫博士「ふん、お前の出る幕じゃないやい! 引っ込んでろ! こいつがワシをバカにしたから、ワシはこいつに決闘を申し込んだんだ!」

キュステ(ファゼロを後ろにかばいながら)「いいや、お前はおれの悪口を言ったんだ。だからおれがお前に決闘を申し込む! だいたいお前はさっきから見ていると、まるで自分一人の野原みたいに威張り散らしてばかりじゃないか。さあ、ピストルか刀か、どちらでも好きな方を選べ!」

山猫博士(ちょっとビクビクして、お酒をグッと一杯飲みます)「だ、黙れ! お前は決闘の正しいルールも知らないくせに!」

キュステ「よし、お酒を飲まなきゃまともに話せないような、そんな臆病なやつの相手は、子供で十分だ! おい、ファゼロ、しっかりやるんだぞ。こんなやつは野原の毛虫みたいなもんだ。おれがサポートをしてやるから、思いっきりやっつけてしまえ!」

山猫博士「よし、おい! 誰かワシのサポート役になってくれ!」

草原の紳士(二人目)「まあまあ、あんな小さな子供の言うことですから、どうか大目に見てやってくださいよ。今夜は楽しい夏祭りの夜なんですから」

山猫博士(ぽかっと殴りつけます)「うるさい! そんなことはわかっている! 黙っていろ! おい、誰かワシのサポートをしろ! おい、ミラー、お前がやれ!」

ぶどう園の農夫「おれは嫌だよ」

山猫博士「この弱虫め! おい、ケルン、お前がやれ!」

草原の紳士(三人目)「おれも嫌だよ」

山猫博士「おい、そこのお前、やれ!」

草原の紳士(四人目)「おれだって嫌だよ」

山猫博士「よし、サポート役なんていらん! さあ、準備をしろ!」

キュステ「お前こそ準備しろ!」(ファゼロの準備を手伝います)

山猫博士「剣かピストルか、どちらかを選べ!」

キュステ「どちらでも、お前の好きな方にしろ!」

山猫博士「よし! おい、ウエイター、剣を二本持ってこい!」

ウエイター「こんな野原に剣なんてありませんよ。テーブルナイフじゃダメですか?」

山猫博士「ナイフでいい!」

ウエイター「かしこまりました。」(一度引っ込んで、ご飯を食べる用のナイフを二本持って戻ってきて、二人に渡します)

山猫博士「さあ、どちらでも好きな方を取れ!」

ファゼロ(一本を手に取り、もう一本を山猫博士に投げて渡します)

山猫博士「さあ、来い!」

キュステ「よし、ファゼロ、さあ、しっかりやるんだぞ!」

(二人は戦います。ファゼロが山猫博士の胸をツンと突きました。山猫博士はあわてふためいて、ドタバタと逃げ回ります)

「おいおい! やられた、やられちゃったよ! 誰かヨードホルム(消毒薬)はないか? オキシドールを持ってないか? 誰かいないか! やられた、やられたー!」(そのままバタッと気絶してしまいます)

キュステ「あいつ、よくもまあ色んな薬の名前を知っているな。なーに、傷ひとつついてやしないよ」

羊かい「水をかけてやろう。」(じょうろで顔にサッと水をかけます)

山猫博士(むくっと起き上がって)「ああ……ここは地獄かな? おや、ポランの広場に逆戻りしたのか? いやいや、これはまずいぞ。ええと、レディース・アンド・ジェントルメン、みなさんのアドバイスに従って、ワシは退場することにします。さようなら!」(すばやく逃げるように退場します。みんなは大爆笑! 拍手が起こり、紙ふぶきが舞い散ります)

ぶどう園の農夫(スピーチ台に立ちます)「みなさん! 黄色いシャツを着たあの山猫釣りの野郎は、見事にしっぽを巻いて逃げていきました! シロツメクサの花がともす小さな明かりは、ますます数を増やして、その良い香りが空気いっぱいに広がっています!」「さあ、空をごらん!
天の川のことはおれも詳しくは知らないけれど、なんだか『X』の形になって、夜空に白々と広がっているじゃないか。
カブトムシやビロードコガネたちが列になって、その下をブブンと飛び回っているぞ。
本当にたのしい、たのしい夏祭りだ!
みんな、今夜くらいは毎日の暮らしの大変さや、誰が誰より偉いだなんていう、そんなカッコ悪いことは全部忘れちゃいなさい!
さあ、ぼくたちは今夜、東の空からカッコいいオリオン座がのぼってくるまで、このシロツメクサの明かりに照らされ、天の川のかすかな光を浴びながら、たのしく歌い明かそうじゃないか!
黄色いわらのお酒はなくなってしまうかもしれないけれど、もっときれいに透き通った夜露が、夜空からいっぱい降ってくるんだから。
さあ、女の子たち!(町のお人形さんみたいに、手間ばかりかかるバカバカしい服なんて着なくたっていいんだよ、)君たちはたった一枚の白い布を頭にかぶるだけで十分さ。そうすれば、ブドウ色の夕闇や、天の川から届く銀色の光、いろんな木の黒い影たちが、自然と君たちを最高に素敵にかざり立ててくれるんだからね。
ああ、あの山猫の決まり文句じゃないけれど、

ポランの広場の夏祭り、
ポランの広場の夏祭り!

……ってね!」

(ぶどう園の農夫がスピーチ台を下ります。万雷の拍手と歓声をあびながら、オーケストラが陽気な曲をかなで始めました。みんなが手を取り合って、大きな輪になって踊り始めます。

幕)

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