最初の家内は子供が四つの時にチフスで死んだんですが、二度目の女は、子供が亡くなった年に出ていきました。まだ初七日もたたないうちに出ていったんです。お恥ずかしい話ですが」
こう言いながら、彼は私の顔をじろりと見たように思いました。
私もどきりとしました。
子供の不思議な焼死――ガスの火で体じゅうが火ぶくれになるようなことがあるはずはないのだ――それからすぐに母親の家出。しかも、それは間違いなくあの年の夏だ。ことによると、あの翌晩のことかもしれない。
私は、九つの子供が母親にガスで焼かれている光景、憎悪に燃える若い母親の顔を想像して、ぞっとしたのです。――あの二人のおせっかい者さえ出てこなければ、こんなことにはならなかったのに……と言っているように見えるその男の顔は、さらに気味が悪くなってきました。
彼は、私の顔を覚えているのではないだろうか? あの時は帽子をかぶったままだったから、まさか覚えてはいないだろう。
私は舌がこわばってしまい、その先を詳しく聞き出す勇気はもうありませんでした。
初級翻訳・夏の夜の冒険 第3話
夏の夜の冒険
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