初級翻訳・夏帽子 第2話

夏帽子

私はそのずっと前から、自分を偽っている苦悩に耐えられなくなっていた。自分は一高の生徒でもなく、ましてや貴族の息子でもない。それなのに図々しく制帽を被り、いい気になって「若様」と呼ばれている。どんなに自分を正当化しようとしても、私は不良少年の典型であり、彼らと同じような卑怯な行いをしているに過ぎなかった。

私は悔恨の念に耐えられなくなった。そして、その日の夜のうちに行李(こうり)をまとめ、旅立つことに決めた。
翌朝早く、私は裏山へ一人で登った。そこには夏草が茂り、油蝉が木立で鳴いていた。私は包みからあの帽子を取り出し、両手で握りしめて引き裂いた。麦わらがべりべりと裂ける音が、不思議なほど悲しく胸に迫った。あの海老茶色のリボンでさえも、地面の泥にまみれ、私の下駄に無残に踏みつけられていた。

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