初級翻訳・年とったカシワの木のさいごの夢 第3話

アンデルセン ハンス・クリスチャン

これから、この上なく高いところへ、光と輝きの中へ飛んでいくことができるのだ。しかも、わしの愛するものはみんな一緒なのだ。小さいものも、大きいものも。みんな、一緒なのだ」

「みんな、一緒に」

これが、カシワの木の夢だったのです。

ところが、こうしてカシワの木が夢を見ているあいだに、すさまじい嵐が、清らかなクリスマス前夜に、海をも陸をも荒れ狂っていました。海は山のような大波を、岸に向かって叩きつけました。カシワの木は、メリメリッと裂けて、根こそぎにされてしまいました。ちょうど、根が地べたから離れる夢を見ていた、その瞬間にです。

カシワの木は、地面にどっと倒れました。この木の三百六十五年という一生は、カゲロウにとっての一日と同じことだったのです。

クリスマスの朝になりました。お日さまが昇ったときには、嵐はもう過ぎ去っていました。教会の鐘という鐘が、厳かに鳴り響きました。どの家の煙突からも――貧しいお百姓さんの家のちっぽけな煙突からさえも――まるで古代の祭壇から立ち昇る煙のように、感謝を込めた捧げものの煙が、薄青く立ち昇りました。

海はだんだんと静まってきました。沖の大きな船には、クリスマスをお祝いする色とりどりの旗が掲げられて、美しく風にはためいていました。この船は、昨夜の激しい嵐にも負けなかったのです。

「あの木が見えないぞ、年とったカシワの木が! 俺たちの目印だったのになあ」と、水夫たちは言いました。「昨夜の嵐で倒れたんだ。あの木の代わりになりそうなものは、何かあるかな。なんにもないなあ!」

カシワの木は、海辺で、雪の布団の上に長々と横たわっていました。でも今、短くはありましたが、こんなにも心のこもった言葉を、お別れに受けたのです。

船の上からは、讃美歌が聞こえてきました。クリスマスの喜びを歌い、キリストによる人間の魂の救いと、限りない命とを讃える歌です。

「歌え、高らかに、世の人よ。ハレルヤ。主は生まれたまいぬ。この喜びぞ、たぐいなし。ハレルヤ、ハレルヤ。」

懐かしい讃美歌は、空に響き渡りました。船の上の人たちは、みんなこの歌を歌い、お祈りをしたおかげで、魂が高められたように感じました。ちょうど、クリスマスの前夜に、年とったカシワの木が、最後のいちばん美しい夢の中で、高められていったようにです。

コメント

タイトルとURLをコピーしました