初級翻訳・栗毛虫 第2話

栗毛虫

水を飲んでは暴れ回り、飲んでは暴れ回りするものだから、地面はどんどん泥だらけになっていく。不格好なアヒルの体は、すべって今にもひっくり返りそうだ。
この大騒ぎは、エサがあるうちは絶対に終わらない。十羽のアヒルたちは、突然のこの大ごちそうに「はぁー、生き返った!」とばかりに、今はもうない翼をパタパタと大きく広げてバタバタと暴れているのだった。

そうこうしているうちに、お昼の十二時近くなってきた。畑仕事に出かけていた人たちも家に戻ってきた。
空からは、雨がポツポツと降り始めてきた。
井戸のほうでみんながワーキャー楽しそうに笑っているから、「なんだろう?」と思って見に行ってみたら、妹がアヒルを小屋の中に入れようとして、首のところをつかんで十羽まとめて一気に引き揚げていたのを、みんなが面白がって笑っていたのだ。

しばらくすると、雨はザァザァと本降りになってきた。
今日は旧暦の五月二十七日、明日は「虎が雨(旧暦5月28日に降る雨)」が降る日なのだそうだ。
(明治三十六年十月十三日発行、『馬醉木』第五号掲載)

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