ピアノの一枚ものとしては、老ピアニストのヴィニエスが弾く「セギディリア」「グラナダ」がコロムビアにあり、ビクターには「カディス」があります。
そのほか、ビクターにはコルトーが弾く「椰子の木陰」と「セギディリア」の二枚があります。
また、ビクターのイトゥルビによる「コルドバ」は、一味違った独特の魅力があります。
ヴァイオリン用に編曲されたものでは、ビクターからティボーが弾く「タンゴ」と「マラゲーニア」が出ています。
マーラー
(Gustav Mahler 1860―1911)
近代ドイツ風の交響曲作家として、これほど広大なスケールと壮麗な表現力を持った人は他にいません。
美しさにおいては類を見ない人物ですが、同時にその大げさな癖が災いして、非常に親しみづらいところもあります。
レコードも決して少ないわけではありません。
「交響曲第2番 ハ短調」はアルトの独唱と合唱が入る大作ですが、二度吹き込まれており、オーマンディがミネアポリス交響楽団を指揮したビクター・レコードが新しいものです(JD955―65)。
豊かで美しい曲であり演奏も悪くありませんが、あまりに壮大すぎて盛り上がりの焦点が絞り切れていないため、一般的にどう受け取られるかは分かりません。
「交響曲第5番 嬰ハ短調」の第4楽章だけを、ワルターがウィーン・フィルハーモニー管弦楽団を指揮して録音したものがあります(コロムビアJS25)。
たった一枚ですが、これは良い出来です。
「大地の歌」は、李白や王維の詩のドイツ語訳からインスピレーションを得て作曲された長大な歌曲です。
これはおそらく、数あるマーラーのレコードの中でも最高傑作でしょう。
歌も音楽も中国風というわけではありませんが、蒼く古く雄大で、聴く人の心に深く迫る美しさを持っています。
ワルター指揮、ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団、トルボルグ(アルト)、クールマン(テノール)らによる演奏です(コロムビアJS139―45)。
「亡き児を偲ぶ歌」は悲しくも胸に突き刺さる歌です。
少し感情が強すぎるところもありますが、切々とした情愛が聴く人の涙を誘います。
ポリドールのレーケンパー盤は録音が古いですが、素晴らしい出来栄えです(45154―6)。
「私はこの世に忘れられて」は、ワルター指揮、トルボルグの歌唱が非常に上手です(コロムビアJD5606)。
そのほか、シュルスヌスが歌う「子供の不思議な角笛」もあります(ポリドール45129)。
シャルパンティエ
(Gustave Charpentier 1860―1956)
歌劇「ルイーズ」の作曲家です。パリの市井の人々の物語を独特の方法で描き出したこのオペラは、立派で美しい作品であり、数々の示唆や暗示に富んでいるだけでなく、親しみやすく面白い作品です。
ワーグナーやドビュッシーと並んで、尊敬されるべき存在でしょう。
レコードには、ニノン・ヴァランやティルといった大歌手を動員し、作曲者自身の監修のもとで吹き込まれたものがあり、歌劇レコードの名品の一つと言ってよいでしょう(コロムビアJ8672―9)。
交響劇「詩人の生涯」は、作曲者指揮、パドルー管弦楽団による演奏(ビクターJD702―5)もおすすめします。
組曲「イタリーの印象」も有名な作品ですが、こちらは作曲者自身が指揮した古いレコードしか存在しません。
パデレフスキー
(Ignacy Jan Paderewski 1860―1941)
第一次世界大戦後にポーランドの大統領に選ばれた大ピアニストで、当時を代表する英雄的な音楽家でした。祖国が危機に陥るのを見ながら、アメリカで客死しました。
演奏は巨人にふさわしい見事なものでしたが、作曲に関しては華麗で外面的であり、あまり優れたものは多くありません。
歌劇も協奏曲もあると言われていますが、レコードでは「メヌエット ト長調」が最も愛されています。
作曲者自身が弾いたものがビクターに3、4回吹き直されています(JD1280および愛好家協会第2集)。ほかにも、華やかでかっこいい「幻想的なクラコヴィアク」という曲がありますが、これはクロイツァーという人が弾いたコロムビアのレコードが出ています。
シャミナード
(セシル・シャミナード 1857―1944)
このリストにたった一人だけ女性の作曲家を加えるのも、紅一点の華やかさがあって面白いでしょう。シャミナードは生粋のパリっ子で、かつてはピアニストとしてもとても有名でした。昔のレコードには、クララ・バットが歌った短い歌曲「指環」があります。また、シャミナード自身が弾いたピアノのレコードが5枚あり、今となっては骨董品の中の骨董品として記録されていますが、手に入れるのはまず無理でしょう。現在、日本で聴けるのは、名手アマディオがフルートを吹いている「小協奏曲」だけです(ビクター JD1194)。
マクダウェル
(エドワード・マクダウェル 1861―1908)
アメリカが生んだ最も芸術的な作曲家です。独特の個性を持ったロマンチックな歌曲に素晴らしいものがあるのですが、残念ながら歌のレコードは一つもありません。「ピアノ協奏曲 ニ短調」が、サンロマのピアノ、フィードラーの指揮という組み合わせでビクターから出ています。
マスカーニ
(ピエトロ・マスカーニ 1863―1945)
歌劇「カヴァレリア・ルスティカーナ」というたった一曲で、現代イタリア歌劇界において確固たる地位を築いています。レコードはビクターの黒盤以外には、わざわざ挙げるほどのものはありません。
ピエルネ
(ガブリエル・ピエルネ 1863―1937)
ドビュッシーと同じ時代を生きた作曲家です。フランスらしい優雅なセンス、新しい感覚、そして昔の音楽を懐かしむような興味が、この人の大きな特徴です。自分で自分の曲を指揮してレコードに残したものもいくつかあります。舞踊曲「旋回」などがその例です(コロムビア J8306)。この人はどちらかというと指揮者として非常に名高く、フランス近代の作品をたくさん録音しています。
リヒャルト・シュトラウス
(リヒャルト・シュトラウス 1864―1949)
現代で最も偉大な作曲家の一人です。彼の作る音楽は一般の人には少し難しく感じられるかもしれません。それは、彼の意図が尋常ではなく、並外れた才能によって、交響詩という音楽の表現力を文学や哲学の領域にまで高めてしまったからです。彼の果敢な革新への姿勢と強烈な個性は、比類のないオーケストレーションの技術を駆使して、とにかく前例のない驚くべき作品を完成させました。好むと好まざるとにかかわらず、リヒャルト・シュトラウスの偉大さは認めざるを得ません。
レコードも非常にたくさんあります。その中から特におすすめを挙げましょう。まず、日本の紀元二千六百年を祝うために作られた「祝典音楽」のポリドール・レコードを第一に挙げなければなりません。交響詩では「ドン・ファン」。これはベームがザクセン王立管弦楽団を指揮したものが最も新しいです(ビクター VD8024―5)。「死と変容」はストコフスキーの指揮が新しいです(ビクター JI41―4)。
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