初級翻訳・こがね丸 第7話

こがね丸

それなのに、なぜこれほど鈍く、足を傷つけられたのか」
そう不思議がって尋ねると、黄金丸は答えました。「これには深いわけがあるのです。もともと私は、あの金眸(こんぼう)と聴水(ちょうすい)を、倶に天を戴かぬ仇として狙い、常に油断なくおりました。ある日、例の聴水を見かけたので、名乗りを上げて討とうとしたところ、逆に策略にはめられ、このような不覚をとってしまったのです」
黄金丸は当時のことを詳しく語りつつ、「思えば憎き聴水、今度見つけたら一噛みにしてやりたいと、朝夕心を配っておりますが、あいつも警戒して二度と里へは出てこない。恨みを晴らす手立てがなく、無念でなりません」と言い終えて歯ぎしりしました。
朱目の翁も頷き、「御身の心はわしにも痛いほど分かる。さぞ無念であろう。しかし黄金丸殿、もし本当に敵を討ちたいと願うならば、わしに良い計略がある。及ばぬまでも試してみないか。およそ狐や狸の類は、性質が極めて狡猾で猜疑心が強いため、うかつに仕掛けても容易く捕まえることはできない。だが、彼らが好むものには君子ですら迷うものと聞く。敵の好物を使って釣り出し、罠に落とすのは、それほど難しいことではない」
黄金丸は喜んで、「その釣り落とす罠というものは、以前から耳にはしていましたが、いまだ見たことがありません。どのように作るのですか」と尋ねました。
「それはこうこうこうして拵え、そこに餌を仕掛けておくのだ」
「では、敵が好むものとは何ですか」
「それはネズミの天麩羅だ。肥え太った雌ネズミを油で揚げて吊るしておくのさ。そうすれば、その香気が敵の鼻を突き、心魂を奪われて我を忘れ、たいていはその罠に落ちるものだ。これは猟師がよくやる手法で、あの狂言にもある通りだよ。御身がここから帰ったら、まずそのように罠を仕掛けて、敵が来るのを待ちたまえ。今宵あたり、あの狐が香気に浮かれて出てきて、御身の罠に落ちるやもしれん」
そう懇切丁寧に教えられたので、黄金丸は「これは良いことを聞いた」と何度も礼を言い、その後も四方山の話に花を咲かせているうちに、日も山端に傾き、ねぐらに騒ぐ群れ烏の声がやかましく聞こえてきました。「これは長居をしてしまいました。お許しください」と会釈をして、自分の住処へ帰っていく途中、例の森の陰まで来たところで、昨日のように木の上から矢を射かけてくる者がいました。
今度は黄金丸が肩をすくめて、思わず身を沈め、大声で「おのれ、今日も狼藉を働くか。捕まえてやるぞ!」と走り寄って木の上を見上げれば、果たして昨日の猿でした。黄金丸の姿を見るや否や、またも木の葉の中に隠れてしまいましたが、こちらには木を伝い歩く術がないため、追いかけて捕まえることもできません。
憎い猿だと思いつつも、そのままにして放っておきました。
「それにしても、なぜあの猿は一度ならず二度までも、私を射ようとするのか。我らと猿とは古代より、仲の悪いものの例えに呼ばれて、互いに牙を鳴らし合う身ではあるが、こうして私だけが執拗に狙われる覚えはない。明日にもまた出てくるなら、捕まえて問い詰めてやろう」と、その日は怒りを抑えて帰りました。
――結局、この猿は何者なのか。
また、狐を捕まえる罠はどうなるのか。
それは次の巻を読んで知ってください。
上巻終

下巻

第九回

こうして黄金丸は、ひたすら帰路を急ぎましたが、道のりは短くなく、その上途中で狼藉を働いた猿を追いかけたりしたせいで、意外に時間がかかってしまいました。日も完全に西に沈み、夕月が田んぼに映る頃、ようやく帰り着きました。
鷲郎はすでに門に寄りかかって、黄金丸が帰ってくるのを待ちわびていました。
姿を見るなり、慌てて駆け寄って、「ああ、黄金丸よ。今日はどうしてこんなに遅かったのだ。待たされる身の不安を察してくれよ。去る日のことなどを思い出して、少しも落ち着かなかったのだ」と、愚痴っぽく言いました。黄金丸はカラカラと笑い飛ばして、「そう恨むな。今日は朱目の翁に引き止められて、思わず話が弾んで時を移してしまったのだ。わざと待たせたわけではないから……」と詫びると、鷲郎も深くは咎めず、やがて笑いに紛らせて、そのまま家の中に連れ込み、共に夕食を済ませました。
しばらくして黄金丸は、鷲郎に向かって、今日朱目の翁のところで聞いた話を詳しく語り、「このような良い計略がある以上、速やかにあの聴水を誘い出して捕まえてやる」と言いました。すると鷲郎もうなずき、「狐を釣るのにネズミの天麩羅を用いるとは、私は猟師に仕えていたので以前からその方法は知っており、罠の掛け方も心得ている。だが、その餌にすべきネズミがいなくて躊躇していたのだ」と言いつつ天井を見上げ、少し声を低めて、「御身がかつて助けたあの阿駒(あこま)は立派なものだが、近頃は我らにもなついて、とても忠実に仕えてくれている。それを無残に殺すことなど、情も知らぬ無神狗ならともかく、義を知る我ら犬の仲間として、とてもできることではないのではないか」と言いました。
「実に御身の言う通りだ。私も帰り道に考えていて、真っ先にあの阿駒に考えは至った。しかし、一度死ぬところを救いながら、今またその命を奪うとなれば、恩を仇で返すようで、私としても快くは思えない。いずれにせよ、これ以外にネズミを探して捕まえるに越したことはない」
と言葉が終わらないうちに、突然「ギャッ」という叫び声がして、鴨居からドサリと何かが落ちてきました。
二匹は思わず左右に分かれ、落ちたものをじっと見つめると、今ちょうど噂をしていたあの阿駒でした。
どうしたことか、口から血がどくどくと流れています。
鷲郎は急いで抱き起こし、「おい、阿駒、どうしたのだ!」「顔も血だらけだが……また猫に追われたのか」「鼬(いたち)に襲われたのか」「早く言え、仇を討ってやるから」と、二人で口々に問い詰めました。
阿駒は苦しい息の下から、「いいえ。猫にも追われておらず、鼬にも襲われてもおりません。私自身がこうなったのです」と答えました。
「では、なぜ自害などしたのだ」「何か理由があるなら聞かせてくれ」と、また慌てて問いかけると、阿駒は涙を流して言いました。
「なんと情け深い殿方たちでしょう。このような殿方のためならば、捨てる命も惜しくはありません。――私が自害したのは、黄金丸様の御役に立ちたいという願いからです」
「まさか、今の話を……」
「はい、残らず……鴨居の上で聞いておりました。――私は去る日、烏円(うえん)という者に無体な恋慕をしかけられ、今にもやつに殺されそうになっていた命を、黄金丸様の御情けで不思議にも救っていただきました。あの時、私の雄は烏円のために非業の死を遂げました。残された私はただ一匹、長年契りも深く、石見銀山桝落しのような地獄も何のその、たとえ石油の火の中も、盥(たらい)の水の底までも、死ぬ時は一緒だと誓った恋しい雄に先立たれて、何がこの世の楽しみでしょうか。生きていても甲斐のないこの身が、今日まで生きながらえて君に仕えてきたのは、私にとって雄の仇であるあの烏円を、その場から去らせず討ってくださった黄金丸様の御恩に縛られ、いつか必ず君のためにこの命を差し上げようと思っていたからです。

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