初級翻訳・こがね丸 第11話

こがね丸

自ら宝珠を捨てて神祠を抜け出し、住処も定まらぬ野良狐となって山を彷徨い、金眸の髭の塵を払って阿諛追従(あゆついしょう)を尽くし、その威を借りて多くの獣を害した罪は、諏訪の湖よりも深く、那須野が原よりも大きい。
だが、お前の尾はまだ九つには割けず、三国を飛行する神通力もない。だからこそ、こうして鈍くも罠に落ちて、この野の露と消えることになるのだ。これこそが逃れられぬ因果応報、大明神の罰であることを今こそ思い知れ。
しかし、これだけはしっかり聞け。過ちを改めて後悔するのに遅すぎることはない。死に際の念仏一声で、どんな罪障も消滅すると言う。今ここでお前の過去の非を悔いるなら、速やかに心を入れ替えて、我らが尋ねることすべてに答えよ。
すでにお前も知る通り、我らは長年、あの金眸を敵と狙っている。機会さえあれば討ち入り、奴の首を掻き切ってやりたいと思っている。しかし、奴が住む山は道が険しく案内も知らない。その上、洞窟の中にはどんな猛獣がいて、どんな守備が固められているのか、探るすべもなかったために今日まで躊躇していたのだ。いつかはお前を捕まえて、問い詰めて吐かせてやろうと日頃から思っていた。
さあ、今我らの前で、あの金眸の洞窟の様子や、あの山の要害がどうなっているのか、詳しく語り聞かせろ。これでもなお奴をかばって真実を語らなければ、その時こそお前を、我ら三匹で代わる代わる角にかけ、牙で引き裂き、思う存分苦しめてやるから覚悟しろ!」「あるいは、一思いに息の根を止めて楽に死なせてやろうか。どうせ逃れられぬ命なのだから、死に際の最後の一言で、地獄へ落ちるか極楽へ往くかが決まるのだ。よく考えた上で返答せよ」と、ある時は脅し、ある時はなだめ、言葉を尽くして言い聞かせました。

すると聴水(ちょうすい)は、何を思ったのか、両の目から涙をあふれさせ、堰を切ったように流し始めました。
「ああ、私は誤っていた、ひどく誤っていました。道理を説いてくださった文角(ぶんかく)の主の今の言葉に、長年見ていた迷いの夢からようやく覚めました。今宵こうして悟った我が身の罪の重さを思えば、恐ろしいことです。ともあれ文角の主、あなた様の言葉に責められ、今こそ一生の思い出に、この聴水が物語ることにいたしましょう。黄金丸(こがねまる)の主も、どうかお聞きください」と言いながら、一度咳き込みましたが、荒い息遣いはどこか苦しげでした。

第十四回

この時、文角は捕らえていた襟首を少し緩めましたが、それでもわずかな油断もみせません。
「言いたいことがあるなら、早く言うがいい。この期に及んで我らを欺き、隙を狙って逃げようなどとしても、その計略に引っかかるはずがないのだからな」と言うと、聴水は頭を打ち振り、「その疑いはもっともですが、私はすでに罪を悔い、心を入れ替えたのですから、どうして卑怯な真似などいたしましょう。それにしても黄金丸の主、どうしてこうして無事でいらっしゃるのですか」と不思議そうに尋ねました。

黄金丸は冷笑して、「私は確かに貴様に騙されて、先日は人間の家に踏み込み、ひどく打ち据えられた上に、裏の槐(えんじゅ)の木に繋がれてしまった。明日の朝には皮を剥がれるところを、この鷲郎(わしろう)に救い出され、危うい命を拾ったのだ。その時、足を挫いてしばらくは歩くこともできなかったが、それも朱目の翁(あかめのじじ)の薬のおかげで、こうして以前の体に戻ったのだ」と、足踏みをして見せました。

聴水は最後まで聞かずに、「いいえ、あなたがその時人間に打たれて足を傷つけられたことは、私も密かに探って知っておりました。私が言いたいのはそのことではないのです。……ともかく、あなたに追われるようになってから、我が身は仇敵として狙われ続け、いつ、どのようなことがあって討たれるか知れない。ともかくあなたを亡き者にしなければ、我が心は到底安らがない、とあれこれと思い巡らしておりました。

機会を窺っていたところ、あなたが昨日、あの傷の治療のために朱目の翁を訪ねたことを密かに聞きつけて喜び、すぐに我が腹心の友である『黒衣(こくえ)』という猿に頼んで、途中であなたを射させたのです。見事仕留めたと聞いていたのですが……さては、あやつに騙されたということか!」

そう言うと、黄金丸は「はっはっは」と打ち笑い、「それなら私も合点がいった。まだ鷲郎にも話していなかったが、昨日朱目の翁のところからの帰り道、森の木陰を通った時に、私を狙って矢を放つ者がいた。てっきり村の子供たちの悪戯だろうと思って、その矢を嘴(くちばし)で受け止めて矢の飛んできた方を見れば、人間ではなく大きな猿だったのだ。憎い奴めと睨みつけたが、そのままあやつは逃げ失せた。しかし、私はその猿から恨みを受ける覚えなどないので、なぜこんなことをするのかと不思議に思っていたが、今、貴様の言葉でその狼藉の理由も分かった。

しかも、あやつは今日もまた同じ場所に隠れていて、私を射ようとしたのだ。今回も矢は私には当たらず、肩の辺りをかすめて後ろの木に刺さっただけだ」と答えました。
それを聞いた聴水は、歯を食いしばり、「悔しい、腹立たしい! 聴水とまで呼ばれたこの古狐が、黒衣ごとき山猿に、まんまと騙されていたとは。そんなこともあるのではないかと疑わしく思い、昨日の夕方あやつの住処を訪ねて、首尾はどうなったかと尋ねたのです。するとあやつは、何食わぬ顔で『見事仕留めて帰ってきた』と語ったので、私も信じ込んでしまった。

今思えば、その時に『死体は人間に取られた』などと言い繕ったのも、虚言だったのでしょう。死体を見せれば嘘がバレると思ったからに違いありません。あやつは私を騙し、もしこの後、あなたと再会すれば事の発覚を恐れて、再び今日も森に隠れてあなたを射ようとしたのでしょう。そう考えれば、先に藪の陰で黒衣に会った時、ひどく何かに怯えていた様子でしたが、あれも黄金丸の主に追われていたからに違いありません。そんなこととは露ほども気づかなかったとは、返す返すも不覚でした。……ああ、これもすべて聴水の悪事の報いと思えば、黒衣を恨む筋合いもありませんが、あいつさえいなければ、今宵こうして罠にかかるような恥辱を受けることもなかったものを」と、何度も何度も悔しがり、目を釣り上げて悶絶していましたが、しばらくして胸を落ち着かせました。

「ああ、悔いても及ばぬこと。どうせ捨てる命、ただこれ以上は文角の主の言葉に従って、金眸(こんもう)の洞窟の様子を語りましょう。――そもそも、あの金眸大王の洞窟は、麓を去ること二里あまり。山を越え谷を渡ること、その数はいくつあるか分かりませんが、もし間道から登れば、わずか十町(約一キロ)ほどで洞窟の入り口に達します。

さて、大王の配下には、鯀化(こんか・羆)や黒面(こくめん・猪)をはじめとして猛き獣たちがいないわけではありませんが、皆それぞれの山に分かれて持ち場を守っているため、普段は洞窟の辺りにはいません。ただ私と、あの黒衣だけが朝晩大王の側に仕えて機嫌を取っていたのです。

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