初級翻訳・動物物語 狼の王ロボ 第4話

動物物語 狼の王ロボ

世間の噂では「ロボの首には金色の輪がついている」とか、「かれの肩には悪魔の仲間である証として、逆十字の斑点がある」などと伝えられていたが、それらはすべて嘘だった。
ただ、その腰に大きな傷跡が見られたのは、前日にタンナリーがロボ狩りに来た際、その猟犬が噛みついた跡だと分かった。
私はロボの前に肉と水をおいたが、かれは見向きもせず、静かに腹ばいになって遥かな草原を見つめている。
私がステッキで触れても、身動きひとつしない。
日が暮れても、かれは一心に彼方を見つめていた。
「今夜、仲間の狼たちがやってくるかもしれない」
私はみんなにそう注意しておいたが、ロボは一度だけ仲間を呼ぶような遠吠えをしたきりで、何も起こらなかった。
力尽きた獅子や、翼を折った鷲、あるいは雌を失った鳩のように、ロボも妻のブランカに先立たれて力尽き、この世への望みを絶ったのであろう。
翌朝起きてみると、かれは静かに眠っているかのように横たわり、冷たくなっていた。
私はその首から鉄鎖を取り、羊飼いに手伝わせて、ロボの亡骸をブランカの死体をおいた小舎へ運び、その傍らに並べてやった。
その時、羊飼いが言った。
「ロボは、やっぱり王様だったな。その死に方まで……」
私は、この羊飼いが私の心の内をそのまま代弁してくれたような気がして、黙って何度も頷いたのだった。

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