やれやれと胸をなでおろして歩いていくと、また汽車の来る音がする。
友人は慌てて、後ろへ戻って避けようとする。
今度の汽車は、立川駅から青梅駅へ向かうものに違いない。
避ける必要はないと言ったが、私はそのまま進んだ。
果たして、私の言った通りになった。
友人は声を震わせて言った。「生まれてから今夜ほどびっくりしたことはない。うかうかと君と遠足なんかしていたら、どんな死地に陥るかわからない。今後は絶対に君とは遠足に行かないぞ」と。
よほど驚いたのだろう、そして怒っているのだ。
私は、「君は天下の志士を自認するほどの豪傑なのだから、そんなことくらいで驚くことはないと思っていたよ」と答えたが、よくよく考え直してみれば、無鉄砲で向こう見ずだという批判は免れないだろう。
この体験を書き記し、血気盛んな若者たちへの戒めとする。
(大正五年)
初級翻訳・多摩川冒険記 第2話
多摩川冒険記
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