家来や国民は、はじめのうちはがまんしていたけれども、ついに国までほろびそうになったので、大王を山へ追い出してしまった。
大王は、お妃さまと二人の王子・王女の、ただ四人だけで山へ行かれた。
大きな林に入ったとき、王子たちは林の中の高い木の実を見て、『ああ、ほしいなあ』と言ったのだ。
そのとき、大王のすばらしい徳には、林の木々もまた心動かされた。
木の枝はみな、まるで生きもののようにスーッと垂れ下がり、その美しい果実を王子たちにさしだしたのだ。
これを見たものはみな、あまりのすばらしさに身の毛もよだち、大地も感動して三回ふるえたと言われている。
いま、私どもはこの実をとることができない。
けれども、もしヴェーッサンタラ大王のようにものすごく徳の高い人ならば、そしてその人がひどくお腹を空かせているならば、木の枝はやっぱりひとりでに垂れてくるにちがいない。
それどころか、その人は木をちょっと見上げてよろこんだだけでも、もう食べたのと同じことにもなるのだ。」
アラムハラドはそう言って、もう一度林の高い木を見上げました。
まっ黒な木のてっぺんから、ひと切れの空がのぞいていましたが、アラムハラドは思わず目をこすりました。
さっきまでまっ青に光っていたその空が、いつの間にかまるでネズミ色ににごって、ものすごく暗く見えたのです。
木々はゆさゆさとゆれ、とても蒸し暑くなって、どうやら雨が降ってきそうでした。
「ああ、これは雨が降ってくるぞ。
もうどんなに急いでも、濡れないですむわけにはいかない。
体の具合の悪いものはだれだれいるかい?
ひとりもないか?
畑のものや木にとってはすごくいいことだけれど、まさか今日、こんなに急に降るとは思わなかった。
私たちはもう帰らなければいけないね。」
けれどもアラムハラドは、まだ雨が降るまでにはかなり時間があると思っていました。
ところが、アラムハラドがそう言い終わるか終わらないかのうちに、林がパチパチと鳴りはじめました。
それも、手をひろげ、顔を空に向けて、それが本当に雨かどうか確かめようとしても、雨粒は見えませんでした。
ただ、林の広い木の葉がパチパチと鳴っている〔以下原稿数枚?なし〕
入れを右手でつかんで立っていました。
〔以下原稿空白〕
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