初級翻訳・幼な子チビコ 第1話

今野 大力

幼な子チビコ
今野大力

チビコは、今年で三歳になりました。
チビコのお父さんは、肺の病気でずっと寝込んでいます。
チビコのお母さんは、「また働きに出てくるね」と言っています。
働かなければ、ごはんを食べることができないからです。

チビコはある晩、おばあちゃんに抱っこされて寝ていたとき、「メメが痛い、メメが痛い」と言って、パッチリと目を開けたまま、泣いて、泣いて、なかなか眠りませんでした。
そして次の日、ゲッゲッと食べたものを吐き出してしまいました。
どうやら「メメ」というのは、目ではなく、お腹のことだったようです。

「チビコ、お父ちゃんはいるかい?」
「いるよ」
「チビコのお母ちゃんはバカだねぇ」
「かあちゃんはバカじゃないよ、バカじゃないよ」
チビコは一生懸命そう言いました。

チビコは、お父さんやお母さんの手だけで育っているわけではありません。
お父さんはもう一年も前から、遠くの病院のベッドで寝たきりです。
お母さんは働きに出ていて、家にはいません。
チビコは、いつもおばあちゃんのふところに抱かれて眠る毎日なのです。

ある日、チビコは靴を買ってもらいました。
お母さんが働いて、買ってくれたのです。
チビコはまだ、寂しいという気持ちを知りません。
チビコはひとりで遊んでいます。

お父さんは肺の病気。
お母さんは働きに出ていて不在。
ひとりで遊んでいるチビコは、とても風邪をひきやすい子なのです。

コメント

タイトルとURLをコピーしました