初級翻訳・月夜のでんしんばしらの軍歌 第1話

宮沢 賢治

ドツテテドツテテ、ドツテテド、
電柱の軍隊は
その早さ世界に比べるものなし
ドツテテドツテテ、ドツテテド
電柱の軍隊は
その規律世界に並ぶものなし。
ドツテテドツテテ、ドツテテド
二本うで木の工兵隊
六本うで木の竜騎兵
ドツテテドツテテ、ドツテテド
一列一万五千人
針金かたく結びたり

ドツテテドツテテ、ドツテテド
槍をかざせるトタン帽
すねは柱のごとくなり。
ドツテテドツテテ、ドツテテド
肩にかけたるエポレット(肩章)は
重き務めをしめすなり。
ドツテテドツテテ、ドツテテド、
寒さは肌をつんざくも
どうして腕木をおろせようか
ドツテテドツテテ、ドツテテド
暑さ硫黄をとかすとも
どうしておとそうエポレット。
ドツテテドツテテ、ドツテテド、
右と左のサーベルは
比べるものもないほど細身なり。
ドツテテドツテテ、ドツテテド、
タールを塗った長靴の
歩幅は三百六十尺。
ドツテテドツテテ、ドツテテド
電柱の軍隊の
その名世界にとどろけり。

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