初級翻訳・楽聖物語 第73話

楽聖物語

「ツァラトゥストラはかく語れり」には、クーセヴィツキーが指揮したものがあります(ビクター JD571―5)。「成り上がり者の貴族」は2種類も入っています。「ドン・キホーテ」はシュトラウス自身が指揮したものがポリドールにあります(45070―4)。「ティル・オイレンシュピーゲルの愉快な悪戯」もたくさんありますが、フルトヴェングラーがベルリン・フィルハーモニー管弦楽団を指揮したものが良いでしょう(ポリドール 60188―9)。「英雄の生涯」も、曲を捧げられたメンゲルベルクが指揮したものがアメリカのビクターにありますが、日本盤はなく、それに録音も古くなっています。

 楽劇「薔薇の騎士」は全曲ではありませんが、全曲を彷彿とさせるような大作がビクターに入っています。レーマン(ソプラノ)、マイアー(バリトン)、オルシェヴスカ(メゾ・ソプラノ)、エリザベト・シューマン(ソプラノ)という、当時考えうる最高のメンバーを揃え、ヘーガーがウィーン国立歌劇場合唱団とウィーン・フィルハーモニー管弦楽団を指揮した豪華な盤です(ビクター JD391―403)。楽劇「サロメ」の「七つのヴェールの踊り」は有名な妖艶な場面で、レコードもたくさん出ていますが、困ったことにどれも新しくはありません。古いものならポリドールの作曲者自身の指揮、少し新しいものならビクターのコッポラ指揮というところです。歌曲では、エリザベト・シューマンが歌った「セレナード」(ビクター JD386)と「朝」(同 JD386)が、どちらも素晴らしい出来栄えです。シューマンはシュトラウスの歌を得意としています。ほかにも、シュルスヌスがシュトラウス自身から指名されて歌った例もあり、その「セレナード」などは名品と言えます(ポリドール 60100)。

グラズノフ
(アレクサンドル・グラズノフ 1865―1936)

 帝政ロシアの時代からソ連の音楽界を支えてきた重鎮です。「ヴァイオリン協奏曲 イ短調(作品82)」をハイフェッツが演奏したものは、技術的に聴き応えがあるという一点において優れています(ビクター JD427―9)。舞踊組曲「四季」をグラズノフ自身が指揮したレコードがコロムビアから出ていますが、あまり面白くありません。また、交響詩曲「ステンカ・ラージン」といった作品もあります。

デューカ
(ポール・デュカス 1865―1935)

 不思議な技巧を持った作曲家です。高度に洗練された感覚と、神経質なまでの新鮮さが聴く人の興味をそそります。交響詩曲「魔法使いの弟子」が彼の代表作です。トスカニーニが指揮するニューヨーク・フィルハーモニック管弦楽団の演奏盤がおすすめですよ(ビクター JD1245)。コロムビアからはゴーベル指揮のレコードも出ています。

シベリウス
(ジャン・シベリウス 1865―1957)

 フィンランドを代表する国民的な音楽家です。フィンランド政府からのバックアップは至れり尽くせりで、レコードの制作や配布にまで補助金が出ていたほどでした。
 「フィンランディア」はフィンランドの故郷をたたえた音詩で、シベリウスの代表作です。レコードはストコフスキーが指揮したものを選ぶのが良いでしょう(ビクター 7412)。「悲しきワルツ」も有名な作品ですが、こちらもストコフスキーの指揮盤と、エルマンがヴァイオリンで演奏したものがあります。「ヴァイオリン協奏曲 ニ短調」は、ハイフェッツの素晴らしい演奏が聴けます(ビクター JD1490―3)。まずはこの「ヴァイオリン協奏曲」と「フィンランディア」の二つを用意すれば間違いありません。
 シベリウスは八曲の交響曲を残していますが、そのうち四曲がレコード化され、日本にも三曲が輸入・プレスされています。「交響曲第一番 ホ短調」と「交響曲第二番 ニ長調」は、カヤヌスの指揮でコロムビアから発売されました。これらはフィンランド政府の保護を受けて売り出されたもので、非常に特色のある名盤でしたが、「交響曲第四番 イ短調」のストコフスキー指揮盤(ビクター)とともに、今では残念ながら廃盤になってしまいました。

サティ
(エリック・サティ 1866―1925)

 非常に変わった作曲家です。フランスの最先端を行く音楽家グループ「六人組」の年長者であり、生真面目な音楽の中に、とんでもないユーモアを混ぜ込み、かえってそれが一種の真実味を感じさせるような作品を作りました。
 レコードは非常に少ないです。ピアノ曲「グノシェンヌ」第一番をコープランドが弾いているもの(ビクター JF33)や、歌曲「銅像」と「帽子屋」を、ベルナックがプーランクの伴奏で歌っているもの(ビクター現代フランス歌曲集)があります。コロムビアにもサティのレコードは二、三枚ありましたが、惜しいことに廃盤になってしまったようです。

グラナドス
(エンリケ・グラナドス 1867―1916)

 この上なく甘美な、スペインらしい曲を書いた作曲家です。第一次世界大戦中、大西洋上で乗っていた船が撃沈され、悲劇的な最期を遂げました。
 「スペイン舞曲」は彼の代表的な名作です。かつては五曲セットで、ピアノ版もオーケストラ版もあったはずですが、今はカタログで見かけません。五曲の中でも特に二番と五番が素晴らしく、ヴァイオリン用に編曲されたものがかえって有名です。レコードでは、ティボーが「スペイン舞曲第五番 ホ短調」「第六番 ニ長調」(ビクター JD652)を演奏しているほか、カザルスのチェロによる「第五番」(ビクター 1311)や、歌劇「ゴイェスカス」の間奏曲(ビクター 6635)があります。どれも、とろけるように甘い音楽です。

ルッセル
(アルベール・ルーセル 1869―1937)

 フランス印象派の音楽を、極めて繊細で洗練された境地にまで高めた作曲家です。少し繊細すぎて大衆受けはしませんが、芸術的な香りの高い作品がたくさんあります。
 「蜘蛛の饗宴」が代表作です。コロムビアから出ていた、今は亡きストララムが自分の管弦楽団を指揮したレコードが名盤で、ストララムをしのぶ記念碑的な意味も持っています(J7830―1)。

シュミット
(フローラン・シュミット 1870―1958)

 印象派の作曲家の一人です。組曲「サロメの悲劇」が、作曲者自身の指揮によってコロムビアから発売されています。

ヴォーン=ウィリアムス
(レイフ・ヴォーン・ウィリアムズ 1872―1958)

 イギリスの現代作曲家です。故郷の味わいを大切にする人で、交響曲にも室内楽にもイギリスの民謡のような情緒を取り入れています。レコードは電気録音の時代になってからはほとんどありません。古い録音には「ロンドン交響曲」や、歌曲の名作「オン・ウェンロック・エッジ」などがありました。

スクリアビン
(アレクサンドル・スクリャービン 1872―1915)

 20世紀の初頭から第一次世界大戦前まで、最も大胆で革命的な音楽家として世間を騒がせました。

コメント

タイトルとURLをコピーしました