……それは、現在のような不活発な動きしかできない潜水服ではダメです。
魚のように素早く、自由自在に海中を泳ぎ回れるものでなくてはなりません。
――僕は苦心しました。
そして、まずはリュベッカーの空気補給法を取り入れ、それに魚類の体型を組み合わせる研究を始めたのです。
――結果は、ご覧の通りでした。
ついに僕は、『河童第一号』を作ることに成功しました。
これを完成させたとき、僕はふと悪い心を起こしたのです。
一度、設計図を盗もうとした罪がある。
どうせ一度罪を犯したんだ。
いっそのことここで、社長の水中砲の設計図も手に入れ、自分の発明と一緒にどこかの軍部へでも売って大金持ちになろうと……」
「よく白状した、もういい」
社長は静かに頷いて言いました。
「罪は罪として、君の発明は立派なものだ。
これからはその発明を生かすために、心を入れ替えて勉強しなさい。工場の研究所も貸してあげよう」
「僕も手伝うぜ」
文吾がそばから笑いながら言いました。
……外は、晴れ渡った五月の空でした。
初級翻訳・水中の怪人 第4話
山本 周五郎
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