……だが、友は燃料も乏しい住居で、雑草を食べて飢えをしのぎながら、ついにこの友は惨めさの底で、今、新しい一人の子供を得たのだ。
新しい人間の子供を……。
風景は僕を噛む 僕は風景を噛む
ああ 噛みあう二つの お前と僕
僕は日没前の時刻が、僕をここへ誘い出すのを知っている。
このお堀端の歩道まで来れば、冷え冷えとしたものが、かえって僕を温めてくれるのだ。
僕のすぐ側を自動車はひっきりなしに流れていくが、僕の頭上の空はひっそりとして、少しずつ光が薄らいでいく。
僕の目は、今はじめて見るかのように洋館の上の煙突を見上げる。
黒い煙の塊が、黙々として浮いて動いているのだ。
そのすぐ側には、まだ色のつかない三日月が見えている。
僕はあの三日月が、僕が向こうの橋のところまで歩いていくうちに光を帯びてくるのを知っている。
お堀の水を隔てて、石崖の上に枝葉を広げて乱舞しているような一本の樹木……。
その緑色の葉は、消えていく最後の灯火のように僕の目に残る。
僕はこのあたりの樹木が、真夏の光線にくらくらと燃え立っていたのをまだ覚えている。
だが、今、僕の歩いていく前に見えてくる木々は、薄らと空気に溶け入ってしまいそうだ。
空気はそのように震えているのだろうか。
震えているのは僕なのだろうか。
それとも死んだお前なのだろうか。
このかかとがすり減ってしまった靴、この着古して紙のように脆くなったオーバー、僕は僕が生き残って、こうして歩いているのを知っている。
お前は知っているだろうか、僕がこうして歩いているのを……。
光線はすっかりほの暗くなって、向こう側の広い道路はぼんやりとしている。
誰か一人の少女が、そのぼんやりとした光の方へ歩いていく。
その影は、少しずつ消え失せていく。
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