初級翻訳・ペンギン鳥の歌 第1話

ペンギン鳥の歌

森は雪につつまれて、あたり一面、真っ白になりました。
高い、大きな枯れ木の上では、一羽のカラスがスピーカーをセットして、今、いっしょうけんめい、こんなことをしゃべっています。
「あ、あ、あ、あ。ただいま、テスト中です」
「あ、あ, あ、あ。ただいま、テスト中です」
「あ、あ, あ、あ。ただいま、テスト中です」

いつまで待っても「あ、あ、あ、あ」とばかり言っているので、まわりの小鳥たちは顔を見合わせて、くすくすと笑い出しました。
でも、「きっと何かが始まるんだよね」と思って、ワクワクしながら待っていました。
「あ、あ、あ、あ。ええ、ただいま、テスト中です」
「あ、あ、あ、あ。ええ、ただいま、テスト中です」

また同じことをくり返しています。
小鳥たちは、またまた、くすくすと笑いました。
それでも、何かおもしろいことが始まるんじゃないかと、じっと待っています。
「あ、あ、あ、あ。ただいま、テスト中です」

カラスは、また同じことをすました顔で平気そうにしゃべり続けています。
「ガガガガガ……」と、スピーカーから出る音が少し変わってきました。
「さあ、いよいよ始まるよ!」と、小鳥たちは静かに耳をすましました。
「あ、あ、あ、あ。ええ、ただいまから『ペンギン鳥の歌』を始めます」

楽しい音楽が聞こえてきて、歌が始まりました。
「ペンギン鳥、ペンギン鳥は雪の上」
「ペンギン鳥、ペンギン鳥は雪の上」
「シロクマ、アザラシ、吹き抜ける風」
「海は真っ青、空も真っ青」
「雪は真っ白、虹は七色」
「遠くの海でクジラが潮を吹く」
「チリン、チリン、チリン、チリン、鈴の音」
「すいすい、すいすい、ペンギン鳥」
「ペンギン鳥の列が進んでいく」
「ペンギン鳥の列が進んでいく」
「夜でも朝でも、ペンギン鳥」
「ペンギン鳥はペンギン鳥」
「ちょっと楽しくて、ちょっとかっこよくて」
「ちょっと元気で、ちょっと優しくて」
「ちょっとお利口で、ちょっと静かで」
「ペン、ペン、ペン、ペン、ペンギン鳥」
「ペンギン鳥は雪の上」
「ペンギン鳥は雪の上」
「チリン、チリン、チリン、チリン、鈴の音」
「すいすい、すいすい、ペンギン鳥」
「ペンギン鳥の列が進んでいく」
「ペンギン鳥の列が進んでいく」

すると突然、スピーカーが「ゴロゴロ……」と大きな音を立てて、歌がピタッと止まってしまいました。
「あ、あ、あ、あ……」

またカラスの声が聞こえてきました。
「あ、あ、あ、あ……」

カラスはスピーカーの前で、すっかりかっこつけて胸を張っています。
「あ、あ、あ、あ。ええ、ただいまから、今度は――『カラスの歌』を始めます!」

小鳥たちは顔を見合わせて、またまた、くすくすと笑い出しました。

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