あたしが言った皮肉(ひにく)くらい、わかってちょうだい」
「なんだと、このインキ入れめ!」と、ペンは怒りました。
「ふん、この字を書くだけの棒(ぼう)っぱし!」と、インキつぼもやり返しました。
これで二人とも、自分の方がいいことを言ったつもりになっていました。
いい返しができたと思うと、気持ちがスッキリして、ぐっすり眠れるものです。
だから、二人はそのまま眠ってしまいました。
けれども、詩人さんは眠りませんでした。
いろいろなアイデアが、バイオリンからあふれ出す音のように、次から次へとわき上がってきたのです。
それはあるときは真珠(しんじゅ)がぶつかり合う音のように、またあるときは森を吹き荒れるあらしのように。
詩人はその音の中に、自分自身の心を感じていました。
そして、永遠の名人――神様からの、一すじの光を感じたのです。
永遠の名人にこそ、すべての栄光がありますように。
初級翻訳・ペンとインキつぼ 第2話
アンデルセン ハンス・クリスチャン
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