帽子箱の話

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佐藤 緑葉

初級翻訳・帽子箱の話 第1話

ハリー・ハートリーという青年は、十六歳まではある私立の学校で、その後はイギリスがその名を知られている有名な大がかりな学園の一つで、紳士としてふつうの教育を受けました。その頃には、彼はもう勉強が嫌で嫌でたまらなくなっている様子でした。そして彼...
佐藤 緑葉

初級翻訳・帽子箱の話 第2話

そのうえ、こうやって私の手元に置いておけば、変なところで変ないたずらをする心配もないしね。それに本当にお顔が綺麗だから、周りの女性たちに変に言い寄られたりする心配もあるけれど、私がしっかり見ていれば大丈夫だわ)その日の夜、夫人は将軍とあれこ...
佐藤 緑葉

初級翻訳・帽子箱の話 第3話

ねえ、私、あなたみたいな素敵な人がいるからこそ、他の男の人たちがますます醜く見えちゃう気がするわ」「そんなふうに優しくおっしゃってくださるのは、あなた様だけでございます」と、ハリーはキザっぽく気取って言いました。「奥様は私をまるで……まるで...
佐藤 緑葉

初級翻訳・帽子箱の話 第4話

将軍は手に持っていた杖で帽子箱を叩いて叫びました。「そんなものを持ってか? 嘘をつくな。貴様、知っていながら嘘をついているな!」「まあ、旦那様」と、ハリーは答えました。「そんな怖い顔でお尋ねにならなくとも」「貴様は自分の立場がわからんのか」...
佐藤 緑葉

初級翻訳・帽子箱の話 第5話

そして自分は、もう目的の場所から遠くないところまで来ている、ということを悟りました。数分間歩いて行くと、ある横町で、新しく塗り替えられた、細部にまで念入りに手入れの行き届いた小さな家の前に出ました。ドアのノッカーや引綱は立派に磨き上げられ、...
佐藤 緑葉

初級翻訳・帽子箱の話 第6話

キスしてくださる? ハリーさん」「承知しました」と、彼は自分に優男(やさおとこ)としての心得があることを思い出して言いました。「ですがこれは裏口のためじゃなくて、あなたが親切で美しいからですよ」そうして、彼は二三度、真心がこもったキスをして...
佐藤 緑葉

初級翻訳・帽子箱の話 第7話

「お前は誰だ? 人のうちの塀を乗り越えてきやがって、人の育てた花を台無しにしやがって。お前の名は何て言うんだ?」と、男はハリーを突き飛ばしながら付け加えました。「そして何の用があってここへ来たんだ?」ハリーは一言の説明すら口に出せませんでし...
佐藤 緑葉

初級翻訳・帽子箱の話 第8話

そこで庭師は帽子箱を作業着の下に隠すと、ハリーを手招きし、先に立って家の方へと歩いていった。戸口の近くで二人は、いかにも聖職者らしい青年に出会った。その人は色の浅黒い、非常に顔立ちの整った青年で、どこか弱々しさと強い意志が混ざり合っているよ...
佐藤 緑葉

初級翻訳・帽子箱の話 第9話

すると彼は突然ハリーの襟首を掴んで、顔を下へ押し向け、道路と家の階段しか見えないようにして、乱暴に前の方へ突き飛ばしながら、およそ一分半くらいのあいだ、ある町筋を下っていき、そして別の通りを上っていった。ハリーは町角を三つ曲がったのを覚えて...
佐藤 緑葉

初級翻訳・帽子箱の話 第10話

私たちには、あなたに男らしさも、分別も、自尊心も、何一つないということがよく分かりましたわ」「ですから、あなたに残された道はたった一つしかありませんわ。今すぐここから立ち去ること。そして、できることなら二度と戻ってこないことです。それから、...
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