日月様

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坂口 安吾

初級翻訳・日月様 第1話

私が精神病院に入っていたとき、変な噂が流れた。私が麻薬中毒だというのだ。警視庁から麻薬係の刑事さんが三人やってきて、担当の千谷(ちたに)先生や、係の看護婦さんたちがひどい目にあったらしい。なんでも二時間にもわたって、ちんぷんかんぷんな事情聴...
坂口 安吾

初級翻訳・日月様 第2話

先生もさぞやお困りのことだろうとお察ししまして、私もまあ、ちょっと顔が利くようになりましたもんで、どうにか手に入れてまいりました!」「それは一体なんですか?」彼はまたクスリと笑って頭をかくと、やおら注射をするようなしぐさを見せた。「なんだい...
坂口 安吾

初級翻訳・日月様 第3話

私は、世間でいうような男娼なんかじゃありません。中途半端にああいう真似をしたり、女っぽく振る舞ったりするのは良くないんです。むしろ、全然そうじゃない普通の男っぽさを残しておくところに、みなさんが面白がって可愛がって下さるコツがあるんですよ。...
坂口 安吾

初級翻訳・日月様 第4話

幸いなことに、お肉があまりない太もものあたりだったから、ちょっと気絶しただけで済んだんですけどね。まあ、そんな人ですから、普通の人とは気性がまるで違います。つまり、女の人でありながら、骨の髄まで芸術家みたいな根性を持っていて、ことにかける執...
坂口 安吾

初級翻訳・日月様 第5話

そして、そうやって太ももを平然と見せる彼女の態度は、まるでどこにだていそうな普通の女性の、何の変哲もない態度そのもので、私はおかげで急にホッとしたほどでした。「じゃあ君は、絵描きの卵なんかでもないのかい?」「まあ、それくらいの嘘なら私だって...
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