梟の眼

スポンサーリンク
大倉 燁子

初級翻訳・梟の眼 第1話

ポケットのダイヤ 陽子(ようこ)は珍しく早起きをして、朝のお化粧もすませると、ベランダの籐椅子(とういす)に長々と両足を伸ばし、ココアを飲みながら、何度も腕時計を眺めていた。 客間の置時計が九時を打つと、それを合図にしたように玄関のベルが鳴...
大倉 燁子

初級翻訳・梟の眼 第2話

「ああ、あのダイヤが欲しい!」溜息といっしょについ口に出してしまってから、急に恥ずかしくなり、顔を真っ赤にして立ち上がり、ポケットからハンコ……じゃなくてハンカチを取り出そうと手を突っ込んだその時、カチリ! と床に落ちたものがあった。おやっ...
大倉 燁子

初級翻訳・梟の眼 第3話

陽子は一刻も早く用件を聞きたかったので、ただ、「いいえ」とだけ答えて微笑んだまま、黙っていました。婦人はマッチをすり、器用な手つきでタバコに火をつけました。何を言い出すのかとハラハラしながら煙の行方を見つめていると、薄墨色の女はやがてタバコ...
大倉 燁子

初級翻訳・梟の眼 第4話

シャンパンの勢いに背中を押されて、少しふらつく足をしっかりと踏みしめながら、春樹はあの薄墨色のドレスを着た女と踊っていた。しかし、その次のダンスでは、銀髪でふくよかな貴婦人の手を取っていた。見るからにお金持ちそうなこの女性は、年齢に似合わず...
大倉 燁子

初級翻訳・梟の眼 第5話

「私みたいな世界中を股にかけたあばずれ者でも、生まれ故郷のなつかしさはやっぱり変わらないものなのよ。だから、こっそり観光団のふりをして日本に戻ってきたの。今回の帰国は、商売が目的だけじゃないのよ。遠くからでもいいから、母や妹たちの姿を一目見...
スポンサーリンク