北原 白秋

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北原 白秋

初級翻訳・海豹と雲 第3話

ちちら、ちち、空の声、まだ辛い、春は来ない。匂い立つ、畦の土、また、今朝は、凍りついてしまった。【鴛鴦(おしどり)】冬の日の、オシドリの、つき放したような様子、瞳の黒さ。根が白い葦、蓮の根の、氷にも、寄り添う身の。老いてもなお、美しい、飾り...
北原 白秋

初級翻訳・海豹と雲 第2話

光り輝く、氷柱(つらら)の神。犬は噛みつく。月のかげを噛みしめて、かりかりと音を立てる。【木蘭吟(もくれんぎん)】木蘭よ。私は語ろう。さかずきは、私の子供のようなもの。木蘭よ。酒、酒、酒。酒は私の、いとおしい和魂(にぎみたま)。木蘭よ。また...
北原 白秋

初級翻訳・海豹と雲 第1話

【序】気高く、そして尊い。その美しさは清らかで、はじめて真実が通り抜ける。中身が空っぽであるからこそ満ちあふれ、充実しているからこそ空虚である。そんなふうに、詩とは魔法のような不思議な術であるのかもしれない。鳥が空を飛ぶのは、ただの当たり前...
北原 白秋

初級翻訳・孟宗と七面鳥 第1話

しっとりとした孟宗竹(もうそうちく)の枯れた色合いは、ぼくにとって何よりも心安らぐ親しい景色だ。ぼくは二階の書斎から、ガラス戸越しに朝晩その眺めを楽しんでいる。どの窓を見渡しても、孟宗竹がしだれかかっている。寒くて風のない日などは、その揺れ...
とんぼの眼玉

初級翻訳・とんぼの眼玉 第4話

ハックッシュッ、ハックッシュッ、はぁはぁハックッシュッ、ハックッシュッ、ハックッシュッ、はぁはぁハックッシュッ。あわて床屋春は早いうちから川辺の葦(あし)に、カニが店を出して、床屋でござる。チョッキン、チョッキン、チョッキンナ。小ガニはぶつ...
とんぼの眼玉

初級翻訳・とんぼの眼玉 第3話

遊びに行きたいけれど、傘はない、赤い鼻緒の下駄(げた)も緒が切れちゃった。雨がふります。雨がふります。いやでもお家で遊びましょう、千代紙(ちよがみ)を折ったり、たたんだりしましょう。雨がふります、雨がふります。けんけんと小さなキジが今鳴いた...
とんぼの眼玉

初級翻訳・とんぼの眼玉 第2話

大正八年九月相州小田原木兎の家にて白秋とんぼの眼玉とんぼの眼玉とんぼの眼玉は大きいのかな、銀ピカ眼玉の青い眼玉、丸い丸い眼玉、地球儀の眼玉、大いそがしの眼玉、眼玉の中に、小人が住んでいて、千人も万人も住んでいて、めいめい虫めがねで、あっちも...
とんぼの眼玉

初級翻訳・とんぼの眼玉 第1話

はじめに山火事燃えるな、ホウホケキヨ、可愛い小鹿が焼け死ぬぞ。これは、春の終わりから夏のはじめにかけての夕方、赤々と山火事が燃えさかる箱根あたりの山を眺めながら、小田原の町の子どもたちが昔歌っていたわらべうたの一つだそうです。昔の子どもたち...
お月さまいくつ

初級翻訳・お月さまいくつ 第1話

お月さま、いくつ?十三、七つ。まだ年が若いねえ。あの子を産んで、この子を産んで、だれに抱かせようか。お万に抱かせよう。お万はどこへ行った?油買いに、お茶買いに。油屋の軒先で、氷が張っていて、油を一升こぼしちゃった。その油、どうしたの?太郎ど...
まざあ・ぐうす

初級翻訳・まざあ・ぐうす 第9話

ただ、ここでは細かい比較は読者の皆さんにお任せします。私がこの本に訳出したのは『マザー・グース』の童謡を主として、英米の子供たちの間で歌われている遊び歌や子守唄などを取り混ぜたものです。翻訳するにあたっては、四、五種類の童謡集や楽譜などをあ...
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