初級翻訳・ワンダ・ブック――少年・少女のために―― 第40話

ホーソーン ナサニエル

ああ、それから蜂蜜ときたら! 僕はここで、それがどんなにいい匂いがして、どんなに美しい色をしていたかをくどくどと説明しないで、そっとしておいた方がいいかもしれません。
その色は少しも混じりけのない澄み切った黄金色で、匂いといったら、千もの花を集めたようでした。
それも、地上の花園に咲く花ではなく、ミツバチが雲の上高くまで飛んでいかなくては見つけられないような花の匂いです。
ここで不思議なのは、それほどいい香りがして、枯れる日もなく咲き誇る花壇にとまりながら、ミツバチがフィリーモンの庭にある巣へよくもまあ帰ってきたものだということです。
こんなに素晴らしい蜂蜜は、誰もまだ食べたことも、見たことも、嗅いだこともないでしょう。
その芳しい香りは台所のあたりに漂い、何とも言えないほど心地よいので、目を閉じればたちまち低い天井や煤けた壁のことを忘れてしまい、この世のものとは思えないほど良い匂いを放つスイカズラがいっぱいに絡まった東屋にいるような気分にさせてくれたことでしょう。

ボーシスおばあさんは何も知らない年寄りでしたが、こうして起きている出来事は、どうしてもただ事ではないと思わずにはいられませんでした。
そこで、お客さまたちにパンと蜂蜜をすすめ、それぞれの皿に葡萄を一房ずつ置いてから、フィリーモンのそばに座って、自分の見たことを小声で彼に話しました。
「お前さん、こんなことって、今までに聞いたことがあるかい?」彼女は尋ねました。
「いや、まるでないね」フィリーモンはにっこり笑って答えました。
「それに、お前が夢でも見ているような気分になって、ふらふらしていたんだと思うよ。もしもわしが牛乳を注いでいたら、その辺のことはすぐに見抜いていただろうに。どうかして、お前が思ったよりもいくらか多めに壺の中に牛乳が残っていたんだろうよ――ただそれだけのことさ」
「ああ、うちの人」とボーシスは言いました。「お前さんが何と言おうと、この方々は、どうして、ただの普通の人じゃないよ」
「まあ、まあ」とフィリーモンはまだ笑いながら答えました。「多分そうだろう。あの人たちは確かに、もとは相当にいい暮らしをしていたらしい様子が見える。わしはあの人たちがこんなに美味しそうに夕飯を食べているのを見ると、嬉しい気がするよ」

お客さまたちは今度は、それぞれ自分の皿の上の葡萄を手に取りました。
ボーシスは(もっとよく見るために自分の目をこすってみたのですが)葡萄の房がなんだか大きく立派になって、一粒一粒の葡萄も、もう少しで熟した果汁ではち切れそうになっているように見えました。
小屋の壁に這っている、あの古くていじけた葡萄の木に、どうしてこんな実がなったのか、彼女には全くわけがわからない気がしました。
「大変うまい葡萄だな、これは!」クイックシルヴァは、一粒ずつむしって食べながらそう言いましたが、一向に房が小さくなる様子もありませんでした。
「一体、おじいさん、これはどこからもいできたんです?」
「うちの木からですよ」とフィリーモンは答えました。
「その枝の一つが、向こうの窓をくねくねと横切っているのが見えるでしょう。しかし、うちの家内もわしも、この葡萄をうまいなんて思ったことは一度もないんですがね」「これほど美味しいものは、これまで食べたことがありません」と、そのお客さまは言いました。
「もしよろしければ、この美味しい牛乳をもう一杯いただけますか。
そうしていただければ、私はもう、どんな殿様よりも素晴らしい夕飯をいただいたことになりますから」

今度はフィリーモンおじいさんが立ち上がり、壺を手に取りました。
というのも、彼はボーシスおばあさんが先ほど小声で教えてくれた不思議な出来事が、一体本当なのかどうか、自分の目で確かめたくなったからでした。
彼は、自分の年老いた妻が嘘をつくような人ではないことを知っていましたし、彼女が「本当だ」と思ったことで間違っていた試しがほとんどないことも分かっていました。
それにしても、これはあまりに不思議なことだったので、彼は自分の目でその真相を突き止めてみたいと思ったのです。
そこで、彼は壺を手に取ったとき、こっそりと中をのぞいてみました。一滴も入っていないことを確認して、彼はすっかり納得しました。
ところが、その瞬間、壺の底から小さな白い泉がもくもくと湧き出してきて、泡立った良い匂いの牛乳が、あっという間に壺の口までいっぱいになってしまったのです。
フィリーモンが驚きのあまり、その不思議な壺を取り落とさなかったのが、幸いというものでした。

「不思議な力をお見せになる旅の方々、一体あなた方は何者でいらっしゃいますか?」フィリーモンは、先ほどボーシスが驚いたときよりもなお一層驚いて、そう叫びました。
「私たちはこうして、お邪魔させていただいたお客ですよ、フィリーモンおじいさん。そして、あなたの友人でもあります」年上のほうの旅人は、どこか優しく、自然と頭が下がるような、穏やかで深みのある声で答えました。
「私にも牛乳を一杯ください。そしてこの壺が、困っている旅人のためと同じように、親切なボーシスとおじいさんのためにも、決して空になることがありませんように!」

夕飯も済んだので、見知らぬ人たちは寝室へ案内してほしいと言いました。
老夫婦はもう少し彼らと話をして、自分たちが感じている不思議な思いを伝えたり、貧弱だった夕飯が、あんな思いもよらないほど立派で十分なご馳走になった喜びを語り合ったりしたいと思いました。
しかし、彼らは年上の旅人が持つ威厳に圧倒されてしまい、質問をする元気すら出てきませんでした。
そして、フィリーモンがクイックシルヴァを脇へ引っ張っていって、「一体どうして、古い土焼きの壺の中に牛乳の泉なんかが湧いてきたのでしょう」と尋ねると、クイックシルヴァは自分の杖のほうを指さしました。

「不思議の種はすべてあれなんですよ」とクイックシルヴァは言いました。「もしおじいさんにそれが分かったら、一つ教えていただけるとありがたいですね。私にも、自分の杖のことを何と言っていいか分からないんです。時々こうして夕飯を食べさせてくれるかと思うと、また時々それを盗んでしまったりするような、変ないたずらを始終やるんです。私がそんな馬鹿げたことを信じるとすれば、この杖には魔法がかかっているとでも言いますかね!」

彼はそれ以上何も言わずに、ずるそうな表情で二人の顔を見たので、老夫婦は何だか彼にからかわれているような気がしました。
クイックシルヴァが部屋を出て行くと、その魔法の杖は、彼のあとについてぴょんぴょんと跳ねるようにしてついて行きました。
二人きりになってからも、その老夫婦はしばらくその夕方の出来事について語り合って、それから床の上に横になると、ぐっすりと眠ってしまいました。
彼らは寝室を客たちに譲ってしまったので、そこにある板の間のほかに寝るところはなかったのですが、私はその板の間が、彼らの心のように優しく、柔らかであったことを心から祈ります。

おじいさんとおばあさんは翌朝早くに目を覚ましましたが、見知らぬ人たちもまた、お日様と一緒に起きて出発の準備をしていました。

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