もっとも、仮に気づいていたとしても、そこへは天井の実験室から、しかも天気の良い真昼間でなければ降りていくことができない仕掛けになっていました。
母親と麗子、そして加奈子をしばらく第一の密室に残し、香椎六郎は一人で実験室へと戻りました。
そして屋上庭園から、建物の裏手の出っ張りや庇(ひさし)を伝って、命がけで下へと飛び降りると、一目散に最寄りの警察署へ駆け込みました。
時を移さず、警察隊が「向日葵御殿」を取り囲みました。
そして、この時まで何も知らず、財産と設計図の発見に夢中になって、見当違いの場所を片っ端から壊していた紺野左一郎とその一味を、あっという間に捕縛してしまったのです。
密室から救い出され、一週間ぶりに太陽の光を浴びた麗子の母親は、まもなく意識を取り戻し、娘と抱き合ったまま涙を流して喜びました。
加奈子は首尾よく友達を救い出し、また一つ手柄を立てたことになりますが、無邪気な加奈子はそんなことを特に自慢する様子もありません。
密室から見つかったお金や債券も大変な額でしたが、それ以上に松井博士が研究を続けていた発明品の方が、はるかに価値のあるものでした。
麗子と母親の生活が落ち着くと、改めて博士の弟子である香椎六郎がその遺志を引き継ぎ、国のために研究を続けることになったのです。
初級翻訳・向日葵の眼 第4話
向日葵の眼
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