するといくつもいくつも大きな川ができて、湖から水が矢を射るようにゴウゴウと音を立てて流れました。
追いかけてきた悪魔どもは大抵その中に落ちて、海へ押し流されてしまいました。
大悪魔は、だいぶ働いたので、すっかり疲れ果てて道端にぐったりと倒れ込んでいましたが、ふと気がついて驚きました。自分の強い尾がなくなっていたのです。
「あんまり強く地面を叩いたので、切れてしまったらしい。」
大悪魔はそこを探してみましたが、きっと川の中に落ちて、水に流されたのでしょう。影も形も見えませんでした。
「驚いたな。尾がなくなったら、どうして他の悪魔を防げるだろうか。」
大悪魔は心配しながらも、自分がこしらえた大きな川をいくつも飛び越えて、自分の家に帰りました。
けれども、他の悪魔から攻撃を受ける心配はなくなっていました。なぜなら、大悪魔の敵は皆、大抵川に溺れて死んでしまったからでした。
そこで、後に残ったわずかの悪魔たちに、「仲間同士の喧嘩は決してするものではない。それよりも、人間がいまにできたら、その魂を腐らせることに力を入れるとよい」と教えました。
他の悪魔どもも今度はよく分かったので、もう手向かいせず、大悪魔の家来になりました。おかげで大悪魔の子孫はだんだん数が増えて、地上に栄えました。
けれども、それからは皆、尾がなくなってしまったので、悪魔の姿は大変人間にまぎらわしくなりました。そのために愚かな人間は悪魔と友達になって堕落してしまいました。
ただ賢い人の目にだけは、その無くなった尾がちゃんときれいに見えるので、どんなにうまく化けても、悪魔の正体はすぐに分かるのです。
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