初級翻訳・母を尋ねて三千里 第4話

アミーチス エドモンド・デ

それに、降りてからは一人で歩かねばならないんだぞ」
マルコは元気そうな声で答えました。「はい、どんなことでもこらえます。お母さんにさえ会えるなら。どうか、乗せていってください!」
親方はとうとうマルコの熱心さに心を動かされました。
そして「よし」と言って、マルコの手をぎゅっと握りしめました。
「お前は今夜、荷車の中で寝るんだよ。そして明日の朝、四時に起こすからな」
親方はこう言って家の中へ入っていきました。

朝の四時になりました。星が冷たそうに光っています。
荷車の長い列が、ガタガタと音を立てて動き出しました。荷車はみな、六頭の牛に引かれています。そのあとからは、たくさんの馬もついていきました。マルコは車に積んだ袋の上に乗り込みましたが、あまりの疲れにすぐに眠ってしまいました。
マルコが目を覚ますと、荷車の列は止まっていて、人足たちは火を焚きながらパンを焼いて食べているところでした。みんなは食事が済むと、しばらく昼寝をして、それからまた出発しました。
彼らは毎朝五時に出発して九時に休み、夕方の五時に出発して十時に泊まるという、まるで兵隊の行軍のように規則正しく進みました。

マルコはパンを焼く火を起こしたり、牛や馬に飲ませる水を汲んできたり、角灯の掃除をしたりしました。
みんなが進む道は、どちらを見ても広い平野が続いていて、人家もなければ人影もありませんでした。時折、二、三人の旅人が馬に乗ってやってくることもありましたが、風のように一瞬で駆け抜けていきました。
来る日も来る日も、ただ広い野原しか見えないので、みんなは退屈で退屈でたまりませんでした。
人足たちはだんだん意地悪になり、マルコをおどかしたり、無理な仕事を押し付けたりするようになりました。大きな飼い葉を運ばせたり、遠い所へ水を汲みに行かせたりしたのです。そして、少しでも仕事が遅れると、大きな声で叱りつけました。

マルコはへとへとになり、夜になっても眠ることができませんでした。荷車はギイギイと揺れ、体は転がりそうになり、おまけに風が吹いてくると赤い土ぼこりが舞い上がり、息をすることさえ苦しくなりました。
マルコはすっかり疲れ果ててしまいました。それに、朝から晩まで叱られたりいじめられたりするので、日に日に元気もなくなっていきました。
ただ一人、マルコをかわいがってくれるのは親方だけでした。マルコは車のすみに小さくうずくまり、袋に顔を当てて泣いていました。

ある朝、マルコが水を汲んでくるのが遅いと言って、人足の一人が彼をぶちました。それからというもの、人足たちは交代で彼を足で蹴りながら、「この宿なし犬め」と罵りました。マルコは悲しくて、ただすすり泣くばかりでした。
ついにマルコは病気になってしまいました。三日間、荷車の中で何も食べられずに苦しんでいました。
ただ、水をくれたりして親切にしてくれるのは親方だけでした。親方はいつも彼のところへ来ては、「しっかりしろ。お母さんに会えるんだから」と言って励ましてくれました。マルコは、もう自分は死んでしまうのだと思いました。
そして何度も「お母さん。もう会えないのですか。お母さん」とつぶやき、胸の前で手を組んで祈っていました。
親方が親身になって看病してくれたおかげで、マルコはだんだんと元気を取り戻していきました。
すると今度は、一番心配な日がやってきました。旅を続けて九日目、トゥクマンへ向かう道とサンティアゴへ向かう道が分かれる場所へ着いたからです。
親方はマルコに、ここでお別れしなければならないことを告げました。
親方はマルコの行く末を案じて、道のことを丁寧に教えてくれたり、歩くときに邪魔にならないようにと袋を背負いやすくしてくれたりしました。
マルコは親方の体に抱きついて、お別れの挨拶をしました。

マルコは青々とした草の道に立ち、手を振りながら荷車の隊列を見送っていました。
荷車の親方も人足たちも、振り返ってマルコに手を振っていました。
やがて一行は、平野の赤い土ぼこりの中に消えていきました。
マルコは草の道を一人で歩き出しました。夜になると草むらに入り、袋を枕にして眠りました。
それから何日か過ぎると、彼の目の前に青々とした山脈が見えてきました。
マルコは飛び上がらんばかりに喜びました。山の頂上には、白い雪がまぶしく光っていました。
マルコは自分の国のアルプス山脈を思い出し、まるで故郷に帰ってきたような気持ちになりました。
その山はアンデス山脈でした。アメリカ大陸の背骨をつくっている大きな山です。
空気もだんだんと温かくなってきました。そして所々に小さな人家が見え、小さなお店もありました。
マルコはその店でパンを買って食べました。また、黒い肌をした女の人や子供たちにも出会いました。彼らはマルコをじっと見つめていました。
マルコは歩けるだけ歩くと、木の下で眠りました。次の日も、そのまた次の日も同じようにしました。
そうして旅を続けるうちに、マルコの体力はすっかり底をついてしまいました。靴はボロボロに破れ、足からは血がにじんでいました。彼はしくしくと泣きながら歩き出しました。
けれども「お母さんに会えるんだ」と思うと、足の痛みさえ忘れてしまうのでした。
彼は力を振り絞って歩きました。広いキビ畑を通り、果てしない野原を抜け、あの高く青い山を見つめながら、四日、五日、そして一週間が過ぎました。
足からは絶えず血がにじみ出て、また急に元気がなくなったりもしましたが、とうとうある日の夕方、一人の女の人に出会うことができました。
「トゥクマンまでは、ここからどれくらいありますか?」と尋ねると、その女の人は「トゥクマンなら、ここから二里ほどだよ」と答えました。
マルコは喜びました。そして、なくした元気をすべて取り戻したかのように歩き出しました。
しかし、それはほんの一時のことでした。すぐに力が抜けてしまいました。
それでも心の中は嬉しさでいっぱいでした。星がキラキラと輝く中、マルコは草の上に体を伸ばして美しい星空を眺めました。
この時、マルコの心はとても幸せでした。マルコは光る星に話しかけるように言いました。
「ああ、お母さん。あなたの子のマルコは今、ここにいます。こんなに近くまで来ました。どうか無事でいてください。お母さん、あなたは今、何を思っていますか? 僕のことを考えてくれていますか?」

マルコの母親は病気にかかり、メキネスにある立派な屋敷のベッドに横たわっていました。
しかしメキネスは、思いがけずブエノスアイレスから遠く離れたコルドバへ行かなければならなくなりました。その頃、母親は体に腫瘍ができていたため、外科医に診てもらうためにトゥクマンへ来ていたのでした。
けれども病状は非常に重く、どれだけ時間が経っても良くなりませんでした。そこで、手術を受けることになったのです。
しかし母親は言いました。
「私にはもう耐える力がありません。手術の途中で死んでしまうでしょう。どうかこのまま死なせてください。もうこれ以上苦しまずに死にたいのです」
主人と奥様は「手術を受ければ早く良くなるから、もっと元気を出しなさい。子供たちのためにも、早く元気にならなければいけませんよ」と静かに言い聞かせました。

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