ジョーは、午前中はローリーと一緒に川へボートを漕ぎに出かけ、午後からはリンゴの木の上に登って、『広い世界』という小説を、涙をポロポロ流しながら熱心に読みふけりました。
ベスは、楽譜の戸棚をあちこち引っかき回して散らかしたまま、片付けもせずにピアノのところへ行って、気ままに鍵盤を叩いていました。
エイミーは、自分のお庭のスケッチを描き始めました。
それからお散歩に出かけたのですが、夕方になると、にわか雨に降られてずぶ濡れの濡れネズミになって帰ってきました。
夕方のお茶の時間、四人はそれぞれが過ごした一日の出来事について話し合いました。みんな「楽しかった」とは言うものの、「なんだか今日は、いつもよりずいぶん一日が長く感じられたね」という意見で一致しました。
そして、次の日も、またその次の日も、彼女たちは何もせずにお休みして遊び続けました。
ところが、日が経つにつれて、ますます一日が長く感じられるようになり、なんだかソワソワして落ち着かない気分になってきました。
すると、退屈している四人の心につけ込もうと、いたずらな悪魔がやってきて、トラブルの種をあちこちにばら撒き始めたのです。
例えばメグは、服を作ろうとして布地を小さく切りすぎてしまい、せっかくのドレスを一着、台無しにしてしまいました。
ジョーは、本を読みすぎて目がチカチカとぼやけてしまい、イライラした気分のまま、いつも優しいローリーとつまらないことで大喧嘩をしてしまったのでした。ベスは、ただ遊んでばかりいるのではなく、いつもの癖で家事のお手伝いを少しはしていたので、他のみんなに比べればまだマシな方でした。それでも、家の中のなんだかトゲトゲした雰囲気に流されてしまって、イライラしてしまい、お人形を厳しく叱り飛ばしたりしていました。
エイミーは、自分一人だけで楽しく遊ぶのは、意外と難しいことなんだと気がつきました。
一日中ずっと絵を描き続けるわけにもいかないし、お人形遊びはもう卒業していて嫌いだったので、すっかり心も体も疲れ果ててしまいました。
金曜日の夜になると、誰一人として「もう遊ぶのには飽きちゃった」とは口に出しませんでしたが、あと一日でこの一週間が終わると思うと、みんな心の中でホッとして嬉しくなりました。
お母様の方でも、「ほら、ご覧なさい」と、娘たちのそんな様子をしっかりとお見通しでした。そして、この「何もしないことのつまらなさ」という教訓を、もっとみんなの心に深く刻み込ませてあげようと考えて、わざとお手伝いさんのハンナさんに、土曜日の一日お休みをプレゼントしたのです。
土曜日の朝、みんなが目を覚まして起きてみると、大変なことが起きていました! 台所のカマドには火がついておらず、食堂のテーブルには朝ご飯が並んでいません。それどころか、お母様もお手伝いのハンナさんも、どこにも姿が見当たらないのです。
「あら、一体どうしちゃったっていうの!?」
ジョーが叫んだとき、メグはすでに大急ぎで二階へと駆け上がっていました。そしてしばらくすると、安心したような、でもどこかクスクスと笑いをこらえたような不思議な顔をして、階段を降りてきました。
「お母様は病気じゃないわ。ただ、お疲れになってベッドで休んでいらっしゃるの。『今日一日は、みんなで好きなように過ごしなさい』っておっしゃっていたわ」
「へえ、そうなんだ! それって最高じゃない! すっごく面白そう! 私、ちょうど何かお仕事をしたくてウズウズしていたところだったのよ!」と、ジョーが嬉しそうに言いました。
本当にその通りで、今の四姉妹は、久しぶりに少し体を動かしてお仕事がしたくてたまらなくなっていたのです。
メグが「料理長(コック長)」に任命され、さっそく朝ご飯の準備が始まりました。みんな、久しぶりの作業が楽しくて、大はしゃぎで取り組みました。
お母様は「私のことは気にしないで放っておいてね」と言っていましたが、みんなはお母様のための朝ご飯もしっかりと用意して、ジョーがそれを二階の部屋まで運んでいきました。
お湯を沸かしすぎて渋くて苦くなってしまった紅茶に、真っ黒に焦げてしまったオムレツ、そしてふくらし粉(重曹)を入れすぎてカチカチに固まり、表面がボツボツになってしまったビスケット。そんなひどい出来栄えでしたが、お母様は「ありがとう」と嬉しそうに受け取りました。そして、ジョーが部屋から出ていくと、お母様はおかしくておかしくてたまらなくなり、一人でベッドの中でクスクスと大笑いしてしまいました。
「かわいそうに、今頃みんな、台所で大慌てで困っているでしょうね。でも、そんなに辛いとは思っていないはずだし、これからの良いお勉強になるわ」
お母様はそうつぶやきました。そして、あらかじめ自分で用意しておいた、もっと美味しい食べ物を取り出して食べました。運ばれてきた失敗作の朝ご飯は、娘たちにバレないようにこっそりと片付けて、まるで全部きれいに食べたかのように見せかけておいたので、娘たちはそれを見て大喜びしました。
これは、お母様の優しい、愛のある「かわいいウソ」だったのです。
その頃、一階の台所や食堂では、あちこちから不満やブツブツ言う声が上がっていました。
朝ご飯が大失敗してしまったことに、コック長であるメグは、悔しくて仕方がありませんでした。
するとジョーが言いました。
「いいわよ! お昼ご飯は、今度は私がメイドになって全部用意するわ。お姉ちゃんは上品な奥様役になって、お客様のお相手をしてちょうだいな」
そう言って、お隣のローリーをランチに招待しようと提案したのです。
このアイデアに、みんなは大賛成しました。
そこでジョーは、さっそくローリー宛てに招待状を書き、あの秘密の郵便局へ入れておきました。
けれども、料理を作るジョーの腕前は、ちょっと……いえ、かなり怪しいものでした。
メグが心配そうに顔を曇らせると、ジョーは自信たっぷりに言いました。
「大丈夫よ! 缶詰のコンビーフもあるし、ジャガイモもあるわ。付け合わせとして、アスパラガスとエビを買ってくる。それから、レタスを使って新鮮なサラダを作るわ。作り方は料理のレシピ本を見ればいいんだもの。デザートには真っ白なゼリーとイチゴ、もっと贅沢にするなら、食後のコーヒーも出しちゃうんだから!」
「ちょっと、ジョー。あなた、普段はジンジャーブレッドとキャンディくらいしか作れないじゃないの。私は今回のこのごちそう作りには、一切タッチしないからね。だって、あなたが勝手にローリーを呼んだんだから」と、メグはあきれ顔で言いました。
「お姉ちゃんは、ローリーが退屈しないようにおしゃべりの相手をしてくれていればいいわよ。でも、もし私が困ったら、何でも優しく教えてくれるわよね?」と、ジョーは少しムッとした様子で言いました。
「ええ、助けてあげる。でも、私だって料理のことなんてそんなに詳しく知らないわよ。お母様にやり方を聞いてからにした方がいいんじゃないかしら?」
ジョーは、自分の料理の腕前を疑うようなことを言われたので、ぷりぷりと怒って部屋を飛び出し、二階のお母様のところへ相談に行きました。
コメント