初級翻訳・若草物語 第7話

オルコット ルイーザ・メイ

なぜって、いうとね……」
ジョウが正直に言おうか、それとも笑ってごまかそうか迷っていると、ローリイはしきりにわけを尋ねます。だれにも言わないと約束させてから、ジョウは打ち明けました。
「服に焼け焦げがあるの。あたし悪い癖があって、よく服を焦がしちゃうのよ」
ローリイは笑いませんでした。
「そんなこと平気ですよ。それじゃ、あっちの細長い広間で踊りましょう。だれにも見られませんから」
ジョウは感謝して、よろこんでついていき、だれもいない広間でポルカを踊りました。
ローリイはダンスが上手で、ドイツ流の踊り方を教えてくれました。まわったり跳ねたりすることが多いので、とても楽しく踊ることができました。音楽が鳴りやむと、二人は階段に腰を下ろして語り合いました。そのとき、隣の部屋からメグが手招きをしているのに気づきました。ジョウがしぶしぶ行ってみると、メグは足を抱え、顔を真っ青にしてソファに座り込んでいました。

「高いヒールがひっくり返って、足首をひどく痛めちゃったの。痛くて、もう立てそうもないわ。どうやってうちに帰ればいいのかしら?」

ジョウは姉の足首をそっとさすりながら、困り果てた顔で言いました。
「だからヒールが高すぎるって言ったのに、けがをすると思ったわ。お気の毒に。でも、どうしたらいいのかしら。馬車を呼ぶか、それともここに一晩中いるか……」

「馬車を呼ぶのはお金がかかるし、頼みにいってくれる人もいないわ。ここには泊めてもらえないし……ハンナが迎えに来たら、なんとか考えるわね。あら、みんなが夜食の会場へ向かうわ。あなたも行って、コーヒーを持ってきてくれない? 疲れちゃって、もう動けないの」

ジョウは急いで向かいましたが、部屋をあちこち間違えてしまい、ようやく食堂にたどり着きました。コーヒーカップに手をかけたその瞬間、うっかり中身をこぼして自分の服の前を汚してしまいました。あわてて手袋でこすり取ろうとしたせいで、手袋まで汚れてしまいました。

「お手伝いしましょうか?」

そう親しげに声をかけてきたのは、片手にコーヒーカップ、もう片手にアイスクリームの皿を持ったローリイでした。

「姉さんのところへコーヒーを運ぼうとしたのに、また失敗しちゃって」
「ちょうどいい。ぼくが運んであげましょう」

ジョウが先導しました。ローリイは慣れた手つきでメグにコーヒーとアイスクリームをすすめ、ジョウのためにもう一度飲み物を取りに行ってくれました。三人がしばらく話していると、ハンナが迎えに来ました。メグはびっこを引きながら帰りの支度をするために二階へ上がりました。その間、ジョウは玄関へ行って下男らしき人物に馬車の手配を頼みましたが、その人は今日だけ雇われた人で、近所の地理には詳しくありませんでした。

すると、それを聞きつけたローリイがやってきて言いました。
「ぼくが送らせてください。道順は同じですし、雨も降っていますから」

ローリイは、自分を迎えに来ていたおじいさんの馬車に、メグとジョウとハンナを乗せてくれました。みんなはぜいたくな箱馬車に揺られ、楽しく豊かな気分にひたりながら家路につきました。ローリイは馭者台(ぎょしゃだい)に乗ってくれたので、メグは痛い足をゆっくり伸ばすことができ、姉妹は気兼ねなくおしゃべりを楽しむことができました。

「すごく面白かったわ!」ジョウは髪をかき上げながら言いました。
「私もよ。けがをするまではね。サリーさんのお友達のマフォットさんとも仲良しになったの。サリーさんは、春になってオペラが始まったら招待してくれるそうよ。お母様が行かせてくださるといいんだけど」
メグは元気づいた様子で言いました。

「お姉さん、私が逃げ出したあの赤毛の人と踊っていたわね。あの人、いい人だった?」
「ええ、髪はとび色よ。とても丁寧な方で、気持ちよく踊れたわ」
「あの人、足を動かすとき、まるで引きつったキリギリスみたいだったわ。ローリイさんと二人で笑っちゃった。私たちの笑い声、聞こえなかった?」
「いいえ、そんなの失礼だわ。あなたたち、カーテンの陰で何をしていたの?」

ジョウは、そこで自分たちがしていたことを話しました。話が終わるころには、馬車は家の前に着いていました。姉妹は厚くお礼を述べて馬車を降り、そっと家の中に入りました。すると扉の音に反応して二つの小さな頭が動き、眠そうだけれど熱心な声が聞こえてきました。
「ねえ、パーティーのお話を聞かせてよ!」

ジョウはメグに言われた通り、あえて「ひどいお作法」の真似事をして妹たちを笑わせ、お土産のボンボンを渡しました。妹たちはそれを受け取り、その夜のワクワクするような話を聞きながら、まもなく眠りにつきました。
メグはジョウに薬を塗って包帯を巻いてもらいながら言いました。
「馬車で夜会から帰ってきて、寝間着のまま座って女中に世話してもらうなんて、まるで立派な貴婦人みたいだわ」

「私たちは髪を焦がしたり、服が古かったり、手袋が片方だけだったり、きつい靴を履いて足首をくじいたりするようなおっちょこちょいだけど、本当に楽しかったわね」とジョウが言うと、それはまさにその通りの夜でした。

第四章 重い荷をかついで

「やれやれ、また荷物をかついで仕事の日々が始まるのね。なんてつらいんでしょう」
パーティーの翌朝、メグはため息をつきました。一週間楽しく遊んだあとでは、うんざりするような仕事になかなか取りかかれません。
「いつまでもクリスマスかお正月だったらいいのに。そうしたらもっと楽しいでしょうね」「……そうね」と、ジョウはあくびを噛み殺しながら答えました。
「もしそうだったら、今より半分も面白くないわ。だけど、夜食や花束をいただいたり、パーティーへ行ったり、馬車で帰ったり、読書をしてのんびり休んだりして、こつこつ働かずに済むような人たちが、本当にうらやましいわ」と、メグが言いました。
「でも、私たちにはそんなことできないわ。だから愚痴をこぼすのはやめて、お母様みたいに、明るい気持ちで歩いていきましょう」

けれど、メグの心は晴れません。髪をきれいに整える元気すらありませんでした。
「ああ、いやだわ。このまま一生懸命働いて、年をとって、汚い気難しいおばあさんになるんだわ。貧乏のせいで、ちっとも面白く暮らせないなんて」
こう言ってメグは、ふくれた顔をして階下へ行き、朝ごはんの席でも不機嫌でした。そのせいで、みんなの気分まで沈んでしまいました。ベスは頭痛がするのでソファに横になり、親猫と三匹の子猫を相手に気を紛らわせようとしていました。エミイは勉強がはかどらないうえに、ゴム靴が見つからないのでぷりぷり怒っていました。ジョウは口笛を吹いて、何か騒ぎを起こしかねない様子です。お母様は急ぎの手紙を書くのに忙しく、ハンナも前の晩遅かったので機嫌が悪そうでした。

「こんないじわるな家、どこにもありはしない!」
ジョウはインキのつぼをひっくり返し、靴のひもを二本とも切ってしまったので、とうとうかんしゃくを起こして、自分の帽子の上にどさりと座り込み、大声でそう叫びました。

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