2026-07

スポンサーリンク
お伽草紙

初級翻訳・お伽草紙 第10話

この魚の掛け橋の尽きたところからまっすぐに降りて行くと、ちょうど竜宮の正殿の階段の前に着くのです。さあ、何をぼんやりしているのです。飛び降りますよ、いいですか」亀はゆらゆらと沈んでいきました。浦島も気持ちを切り替えて両腕を広げ、魚の掛け橋の...
お伽草紙

初級翻訳・お伽草紙 第9話

門だけじゃなく、乙姫様のお部屋にも屋根や壁はあるよ。けれど、それも乙姫様の尊厳を守るために作られたものであって、雨や露を防ぐためのものじゃない。」「そんなものかな。」浦島はまだ納得がいかない顔で言いました。「その乙姫様の部屋というのはどこに...
お伽草紙

初級翻訳・お伽草紙 第8話

「あれは、鯛じゃないんだ。海の火事さ。ひどい煙だろう。あれだけの煙となると、そうだな、日本の国を二十個くらい寄せ集めたくらいの広大な場所が燃えているのと同じだ。」「嘘をつくな。海の中で火が燃えるもんか。」「浅はかだねえ、浅はかだ。水の中だっ...
お伽草紙

初級翻訳・お伽草紙 第7話

あなたたちは、人生の切実な姿を見せつけられるのが大嫌いですからね。それこそ、あなた自身の高級な宿命に、泥水をかけられたような気がするんでしょう。あなたたちの親切は、遊びなんだ。享楽なんだよ。亀だから助けたんだ。子供だからお金をやったんだ。荒...
お伽草紙

初級翻訳・お伽草紙 第6話

また捕まったら、また若旦那に買い取ってもらうつもりですよ。浅はかで悪うございましたね。私はどうしても若旦那にもう一度会いたかったんだから仕方がないでしょう。この『仕方がない』というところが、惚れた弱みというものですよ。どうか私の心意気を買っ...
お伽草紙

初級翻訳・お伽草紙 第5話

もちろん、一人暮らしをしていたわけではありません。父も母もいて、弟も妹もいて、大勢の召使いもいました。つまり、この海岸で有名な旧家の長男だったわけです。旧家の長男というものには、昔も今も一貫したある特徴があるようです。「趣味性」、すなわちこ...
お伽草紙

初級翻訳・お伽草紙 第4話

「うむ」「また、水がたまれば腫れるでしょうね」「そうだろうなあ」結局、このお爺さんの一家にとって、コブのことなど何の問題にもならなかったのです。ところが、このお爺さんの近所に、もうひとり、左の頬に邪魔なコブを持つお爺さんが住んでいました。こ...
お伽草紙

初級翻訳・お伽草紙 第3話

木のうろから這い出た四つん這いの姿勢のまま、前方の怪しい宴会の様子をじっと見つめて、「気持ちよさそうに、酔っているな」とつぶやき、なんだか胸の奥底から、不思議な喜びが湧き上がってきました。お酒飲みというものは、よその人たちが酔っているのを見...
お伽草紙

初級翻訳・お伽草紙 第2話

お婆さんも「命に関わるものではないのでしょうね」と、ニコリともせずに一言たずねただけで、それ以上はそのコブに何の興味も示してくれません。むしろ、近所の人たちの方が同情して、「どうしてそんなコブができたんでしょうね」「痛まないんですか?」「さ...
お伽草紙

初級翻訳・お伽草紙 第1話

「あ、鳴った!」お父さんがそう言って、ペンを置いて立ち上がりました。ただの空襲警報なら動じないお父さんですが、高射砲がドーンと鳴り出すと話は別です。すぐに仕事を中断し、五歳の女の子に防空頭巾をかぶせて抱きかかえ、防空壕の中へと急ぎます。壕の...
スポンサーリンク