ジョーがどうしたのか尋ねると、ローリーは言いました。
「君のお母さんから『秘密にしておきなさい』と言われた約束をしっかり守って、何も喋らなかったから、おじいさんからめちゃくちゃに怒られたんだよ。おじいさんは『本当のことを言え!』ってしつこく迫るんだけど、メグ姉さんを巻き込むわけにはいかないだろう? 僕がやったいたずらのことだけなら白状してもよかったんだけど、そうするとメグ姉さんのことまでバレちゃうから、何も言わずにじっと我慢していたんだ」でも、最後には襟首をつかまれてしまってね。ぼくも頭に血がのぼって、このままじゃ何をしでかすか自分でもわからなかったから、部屋から飛び出してきたんだ」
「そうよ。きっとおじいさまも、今ごろは後悔していらっしゃるわ。仲直りしなさいよ。あたしも一緒に行ってあげるから」
「だめだよ。悪いことなんてしていないのに、二度も謝るなんてまっぴらだ。だいたいおじいさんは、ぼくを赤ん坊扱いするんだ。あれこれ世話を焼いてほしくないってことを、おじいさんにわからせてやるんだ」
「じゃあ、あなたこれからどうするつもりなの?」
「おじいさんが謝ってくれて、ぼくが『何があったのかは言えないんだ』と言ったとき、それを信じてくれるまで、ここには戻らないよ」
「そんなの無理よ。あたしができるだけうまく説明してあげるわ。あなただって、いつまでもここに閉じこもって、芝居がかった真似をして何になるの?」
「いつまでもここにいるつもりはないよ。そっと家出して、旅に出るんだ。おじいさんも、ぼくがいなくなって寂しくなったら、自分の過ちに気づくだろう」
「そうかもしれないけれど、いきなり飛び出しておじいさんを心配させるのはひどいわ」
「お説教はよしてくれ。ぼくはワシントンへ行って、ブルック先生に会いに行くんだ。あそこなら楽しいはずさ。嫌な目に遭った分、うんと遊んでやるんだ」
「いいわね。一緒に行けたら最高なんだけど」と、ジョーは自分が忠告者であることも忘れて言ってしまいました。するとローリーは、
「来ればいいじゃないか! すばらしい冒険になるよ、みんなをびっくりさせよう。お金はぼくが持っているし」
ジョーの心にも火がつくような、ワクワクする突飛な計画でした。本当は行きたくてたまらなかったのですが、窓から自分の家を眺めて、首を横に振りました。
「だめよ。あたしが男の子だったら、絶対一緒に行くのだけれど」
ローリーはなおも誘いましたが、ジョーはしっかりと自分の立場を守って言いました。
「おだまりなさい! これ以上、あたしに罪を重ねさせるようなことを言わないで。それより、もしおじいさんに、あなたをいじめたことを謝らせたら、家出はやめてくれる?」
「あぁ、だけどそんなこと、君にできるわけがないよ」
けれど、ジョーは「できる」と確信して、ローレンス老人の部屋へ向かいました。そして、本を返して次の二巻目を借りようと、梯子に登って書庫の棚を探していました。どうやって話を切り出そうかと悩んでいると、老人のほうから、ジョーが何か企んでいると見抜いた様子でこう言いました。
「あの子は一体何をしたのかね? 何かいたずらをしたに違いないが、一言も返事をせぬから問い詰めたら、自分の部屋に閉じこもって鍵をかけてしまったのだ」
「あの方は確かに悪いことをしました。けれど、わたしたちはみんなで許すことにしたんです。その詳細は母に口止めされていますから、お話しできません。ローリーは白状して、罰も受けました。わたしたちはローリーを甘やかしているわけではありません。ある人をかばうために、黙っているのです。ですから、おじいさまも、どうかこのことには立ち入らないでください。かえって事態を悪くしてしまいます」
「だが、お前さん方に親切にしてもらっていながら、悪いことをしたのなら、わしはこの手で叩き直してやる」
老人の心はなかなか溶けませんでしたが、ジョーは、その「悪いこと」がたいしたことではないように、具体的な内容には触れず、軽やかに話し続けて、ようやく老人の納得を引き出しました。けれど、この際、少し老人にも自分の振る舞いを振り返ってもらおうと思い、ジョーは正直にこう言いました。
「おじいさまはローリーに親切すぎるくらいですけれど、ローリーがおじいさまを怒らせてしまうとき、少しばかりおじいさまも気が短くなってはいませんか?」
「いや、お前さんの言う通りかもしれん。わしはあの子を可愛がっているが、我慢ならないほどわしを苛立たせることもある。……こんなふうだと、これからどうなると思う?」
「申し上げましょうか? あの人、家出をしてしまいますわ」
老人の顔はさっと青ざめ、壁にかかった美しい男の肖像画を見上げました。それは、若い頃に家出し、老人の意に背いて結婚したローリーの両親の肖像でした。ジョーは、老人が苦しい過去を思い出しているのを察し、あんなことを言わなければよかったと後悔しました。そこで、慌てて付け加えました。
「でも、あの人だって、よっぽどのことがないとそんなことしませんわ。ただ勉強に飽きると、そんなことを言って脅かすだけなんです。わたしだって、そんなことしたいと考えるときがありますもの。髪を短く切ってからは、なおさらよ。だから、もし二人がいなくなったら、新聞に『少年二人を探しています』なんて広告を出して、インド行きの船を探してくださいな」
ジョーがそう言って笑うと、老人もほっとしたようでした。
「おてんば娘は、とんでもないことを言いなさる。子供はうるさいが、いなくなると困るものだ。もう何でもないと言って、食事にあの子を連れてきておくれ」ジョーはわざと素直に言うことを聞かず、「形式的なお詫びの手紙を書いて謝れば、ローリーも自分のバカさ加減に気づいて、機嫌を直してやって来ますよ」と嘘をつきました。
「お前さんは、なかなか食えない子だね。でも、お前やベスに言いくるめられるなら、それも悪くない。よし、書こう」
おじいさんは、ちゃんとした謝罪の手紙を書きました。
ジョーはそれを持ってローリーの部屋へ行き、ドアの下から中へ差し入れると、機嫌を直して降りてくるように声をかけました。
ローリーはすぐに降りてきました。階段のところで、彼はこっそり尋ねました。
「君、すごいな。怒られなかったかい?」
「ええ、よくわかってくださったわ。さあ、新しい出発よ。ごはんを食べれば、嫌な気分も吹き飛んじゃうわ!」
ジョーはさっさと自分の家へ帰り、ローリーはおじいさんに謝りました。おじいさんもすっかり機嫌を直し、この事件は無事に解決しました。
けれど、メグはこの事件をきっかけに、ブルック先生との距離がぐっと近づいてしまったのです。
あるとき、ジョーが切手を探そうとしてメグの机の引き出しを開けると、そこには「ジョン・ブルック夫人」という落書きがされた紙切れがありました。
ジョーは悲しそうなうめき声をあげて、その紙を火の中に投げ込みました。ローリーのいたずらのせいで、自分にとっての「不幸な日(メグがお嫁に行ってしまう日)」が早まってしまったのだと、しみじみ感じたのでした。
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