どうか、わたしの願いを聞き届けてください――
いつもこうしてお祈りをしているうちに、おたあちゃんの心はだんだんときよめられていき、透明な水晶のように澄みきっていきました。
心が澄んでいくにつれて、虹の橋の上には、これまで見えなかった美しくかがやく天のお城が見えるようになってきました。
それが、一日ごとにハッキリと見えるようになってきたのです。
天のお城からは、天人たちがうたう、のどかで楽しそうな歌声が聞こえてきました。
おたあちゃんは、うっとりとその声に耳を傾けていました。
すると――
「おたあちゃん、おたあちゃん」
と呼ぶ声がしました。
「あ、おきちゃんの声だ! おきちゃん、おきちゃん、ごめんなさい! わたしもお城へ行くよ、今行くからね。おきちゃん、おきちゃん、許してね!」
おたあちゃんは、まるで夢中になったように、同じ言葉を何度も何度もくり返して叫びました。
それから何日もたたないうちに、おたあちゃんの姿は見えなくなってしまいました。
虹の橋も、いつのまにか小さなものしかかからなくなってしまいました。
そうすると、またしても船乗りたちの間で、こんな歌がうたわれるようになりました。
湖の上にね
天までつづく
虹の橋がかかったよ
髪を二つに結った
二人の女の子が
渡っていったよ
赤い下駄をはいて
赤いぞうりをはいて
手と手をつないで 行っちゃった
こうして、湖の船乗りたちのあいだでは、この不思議な歌がいつまでも歌い継がれていきました。
やがてその歌は村の子供たちにまで歌われるようになりましたが、誰一人として、この不思議な歌の本当の意味を知るものはいませんでした。
ただ、本当のことを知っているのは、湖の水神様だけだったのです。
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