なんと、おばあさんは自分の胸に、自分の持っていたナイフを突き立てたまま、血だまりの中で死んでいました。
「おばあさんは、どうして……?」
「死んでいるわ」
妙子は遠藤を見上げながら、美しい眉をひそめました。
「私、ちっとも知らなかったわ。おばあさんは、遠藤さんが……あなたが殺してしまったの?」
遠藤はおばあさんの亡骸から、妙子の顔へと視線を移しました。
今夜の作戦が失敗したこと、しかしその結果としておばあさんが死に、妙子を無事に取り戻せたこと。そして、運命というものの不思議な力。そのすべてが、遠藤にもようやく理解できたのは、まさにこの瞬間でした。
「私が殺したんじゃない。あのおばあさんを殺したのは、今夜ここへ現れたアグニの神様ですよ」
遠藤は妙子を抱きかかえたまま、厳粛な面持ちでそう囁きました。
コメント