初級翻訳・たまごとおつきさま 第1話

たまごとおつきさま

むかしむかし、野原に建つ一軒家に、一羽のニワトリが住んでいました。
その野原の向こうには、低くてきれいな山が三つ、仲良く並んで立っていました。

ある月夜の晩のこと、そのニワトリが卵を一つ産みました。
ちょうどその時、空にのぼってきたお月さまが、卵に光を差し掛けたので、卵はそれはもう美しくて、まるで真珠の玉のように輝いて見えました。
ニワトリは嬉しくてたまらなくなり、ずっとその卵を見つめていました。

ところが、しばらくすると、卵はだんだん透けて消えていき、影だけになって、最後にはその影さえも見えなくなってしまったのです。
ぼんやりとそれを見ていたニワトリは、たいへんびっくりして、お月さまのところへ駆け寄ると、こうお願いしました。
「お月さま、どうか、わたしの卵を返してください」

すると今度は急に、お月さまが笑いながらだんだんとしぼんでいき、なんと卵の姿になってしまいました。
ニワトリはたいへん喜んで、
「本当ですか、お月さま。これがわたしの卵なんですね」
と言って、それを自分の羽の下に入れようとしました。ところが、その卵は見る間に大きくふくらんで、三つの山並みの向こうから、いつものお月さまになってのぼっていきました。

あくる朝、ニワトリが目を覚まして野原へ行ってみると、昨夜のお月さまが、白く透き通った姿で空にのぼっていました。
そこで、ニワトリは大きな声で鳴きました。
「あれは卵なのかい? それともお月さまなのかい? コケッ、コケッ」

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