初級翻訳・アリスはふしぎの国で 第4話

アリスはふしぎの国で

イギリスでは海に行くと、かならず砂はまにたくさん車輪のついた箱がたの着がえ部屋があってね、子どもたちは木のくま手で砂をほじっていて、あとはずらり海の家に、その後ろが線路の駅。)

でもすぐにはっとした、いるのは自分が3メートル近いときに泣いて作ったなみだまりなんだって。
「あんなに泣くんじゃなかった!」と言いながらアリスは水をかいて前に進もうとしてね。
「罰が当たろうとしてるのよきっと、自分のなみだでおぼれろってね! そんなのけったいだわ、ぜったい! それにしても今日はけったいなことばっかり。」

ふとそのとき、すぐそばあたりで何かがばしゃんと池に落ちる音。水をかいて近くで見きわめようとする。
とりあえずセイウチかカバかと思ったものの、今の自分がとっても小さいことを思い出して、たちまちはっとした、ただのハツカネズミが自分と同じようにすべり落ちただけだって。

「このネズミに声をかけて、」とアリスは考えごと。
「何かになって? ここへ落ちてきてからというもの、もうとんでもないことだらけなんだから、どうもあれも話せそうな気がしてよ。とりあえずだめもとでやってみようかしら。」で、やってみた。
「そこなネズミよ、ごぞんじ? この池の出口。このあたりを泳ぎまわってへとへとなの、そこなネズミよ!」(アリスにはネズミにちゃんと正しく呼びかけなきゃいけないという頭があったので、1度もそんなことしたことなかったけど、そういえばお兄さんの古文の学習帳にあってね、『ネズミが――ネズミの――ネズミに――ネズミを――ネズミよ!』って。)

そのネズミはどこか問いたげにその子を見つめて、小さなひとみで目くばせしてくれたみたいなんだけど、一言もなくって。
「こっちの言葉がわからないのかも。」とアリスは考えごと。
「たぶん外国ネズミなのね、ウィリアムせいふく王についてわたってきた。」(その子の知ってるかぎりでは、何年前に何が起こったのかはうろ覚えだから、こんなことに。)で、またやってみる。「吾猫兮何在?(ネコよ、いずこに?)」
これは外国語のドリルにある最初の文章。
ネズミは水からいきなり飛び出し、そりゃもうびくびくと震えだしてね。
「あら、ごめんなさい!」とアリスはあわてて声を上げました。このかわいそうな生き物の気分を害したのではないかと気がかりで。
「ネコさんがお好きでないなんて、うっかりしていましたわ!」
「好きだって言えるかよ!」とネズミがかん高い、感情のこもった声で叫びます。
「こっちの身にもなってみろ!」
「ええ、おっしゃる通りですわ」と、アリスは相手をなだめるような声で言いました。
「そうお怒りにならないで。でも、うちのネコのダイナに引き合わせられたらなあ。あの子をひと目見たなら、きっとネコさんのことも好きになってくださるわ。とってもかわいくて、おとなしいんですもの」とアリスはひとりごと半分で、池をゆったりと泳ぎながら続けます。
「それでね、だんろのそばにすわって、すてきにのどを鳴らして、お手々をぺろぺろ、顔をごしごし……抱っこするとほんとうにふわふわなんですもの。それに、つかまえるのも上手なのよ、ネズミを……あら、ごめんなさい!」とアリスはまた大声を出しました。だって、そのときにはネズミの毛が全身逆立っていたので、ぜったいに怒らせてしまったなと思ったからです。
「おいやなら、このお話はやめますわ」
「お話だと?」とネズミは声を張り上げ、しっぽの先まで震えていました。「こっちが話に乗ったみたいに言うんじゃねえ! うちは代々、ずっとネコが大きらいなんだ。いじわるで下品な乱暴者め! もうその名前を俺の前で出すんじゃねえ!」
「いたしませんとも!」とアリスはあわてて話の中身を変えようとしました。
「あの……あなた、あれはお好き? その……犬は?」
ネズミの返事がないので、アリスは「これはいい!」と続けて言いました。
「お屋敷のそばにかわいい子犬がいるのよ。あなたにお引き合わせしたくて! 澄んだ目をした小さなテリアでね、ほら、こんなに長々とした茶色の巻き毛があるの! それに物を投げるとひろってきてくれるし、ちんちんしてごはんをおねだりしたり、もういろいろ……半分も思い出せないくらい! 飼い主は地主さんなんだけど、お話ではとても働き者で、金貨100枚分の価値があるんですって! それにお話では、みんなやっつけるって。畑のネズミを――ああっ!」とアリスは大きな声をあげて、やっちゃった、という表情をしました。
「またお気を悪くされたかしら」
だってネズミはもう全力で泳いで離れていこうとしていて、進むほどに池はバシャバシャと波打つのですから。
それでアリスは後ろからやさしく声をかけました。
「ネズミさん! お戻りになって! 犬もネコも、もうどちらのお話もしないから! お好きでないなら!」
するとそれを聞いたネズミは、くるっと回ってゆるゆると泳ぎ戻ってきました。
顔は真っ青(怒っているんだなとアリスは思いました)。それからかすかに声を震わせながら言いました。
「岸辺へ出るぞ。それから俺の昔話をしてやるから、あんたも俺がどうして犬やネコがきらいなのか、わかるってもんだ」

そろそろいい頃合いでした。だって池には、もう落ちてきた鳥やケモノたちがぎゅうぎゅう詰めになりかけていたからです。
そこにはアヒルやドードー、インコや子ワシ、そのほかいろいろな変わった生き物がいて、アリスがいちばん前に出て、みんなでいっしょに岸辺まで泳いでいきました。

3 ドードーめぐりで長々しっぽり

なんともけったいな絵づらのご一行が岸辺にお集まりです。羽を引きずった鳥さんたちに、毛がぴたーとなったむくじゃらたち。みんなずぶ濡れで、気持ち悪くていやな気分です。
さてここで考えるべきは、どうやって体をぱさぱさに乾かすか。
かわかし方を話し合ううち、ものの数分するとけっこうなじんできたというか、気づいたらみんなと仲良くお話ししていて、生まれたときからの知り合いみたいになっていました。
なるほど、インコとは長々と言い争ったものだから、しまいにはムスッとされてしまったのですが、「わたしの方がお姉さんなの。だからモノをもっとわかっているに決まっているわ」なんて言われようものなら、アリスだって相手のお年を知らないからそんなのうなずけませんし、インコも自分から絶対にお年を口にしたくないので、どっちもあとはもう言えません。
とうとうハツカネズミが、そこそこひとかどのものみたいだということで、呼びかけました。
「すわれや、みなの衆! よく聞け! 俺がすぐにでもお前らをぱっさぱさにしてやる!」
すぐさまみんなは大きな輪になって腰を下ろし、ネズミがど真ん中に座りました。
アリスは気になるとばかりに目をネズミにじいっと向けました。だっていま、すぐにでも乾かさないと、ひどい風邪をひきそうだと気にやんでいたからです。
「おほん!」とネズミはもったいつけた感じで言いました。
「みなの衆、いいか? こいつは俺が知るかぎり、いっとうぱっさぱさのやつだ。どうかご静聴を! ウィリアム征服王、その大義が教皇さまのお眼鏡にかなったとあって、イングランドの民はすぐさまこれにひれ伏した。

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